対米自立と脱植民地化による日本再生を図るチャンス!
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今回の「コロナ禍」騒動で私たちは多くのことを学んだ。人間同士が殺しあっている場合ではないのだ。人間のエゴが地球を蝕んで、地球が悲鳴をあげている。このまま何の対策も講じなければ、熱波などによって21世紀には9割の人間が生きていけなくなるという科学者の知見が、根も葉もない地獄絵とは言い切れなくなった。人類は運命共同体なのだ。
一方日本は、周辺諸国との信頼醸成を図り、東アジアを運命共同体として、世界の平和と持続的な繁栄に貢献し、「日本再生」が実現できる、このチャンスを逃すべきではない。市場至上主義から、国民の生活や安全を守る政策に転換する
本書の終始一貫した理念は「友愛」である。友愛とはEUの父と讃えられるクーデンホフ・カレルギーの言葉でフランス革命のスローガン「自由・平等・博愛」の博愛を意味する。鳩山友紀夫元内閣総理大臣は「自立と共生」と表現する。グローバル化する現代資本主義の行き過ぎを正し、伝統のなかで培われてきた国民経済との調整を目指す理念である。すなわち、市場至上主義から国民の生活や安全を守る政策に転換し、共生の経済社会を建設することを意味する。
「友愛政治研究会」は鳩山友紀夫氏を囲む勉強会として、2018年12月に発足、2カ月に1度のペースでこれまで12回ほど開催されている。毎回10名ほどの、大学教授、ジャーナリスト、国会議員などが集合、各自の近況報告と意見交換だけでなく、時に特別ゲストを交えて、沖縄の基地問題をはじめとして、さまざまなテーマ・問題を議論してきた。
その方向性は、対米自立と東アジア不戦共同体の構築である
本書は、これまで行われた友愛政治研究会に参加された、創設メンバー6名と特別ゲスト5名で執筆されている。(全11章で構成)
第1章 国家資本主義が蔓延するなかで友愛共和主義を唱える
鳩山友紀夫 (一財)東アジア共同体研究所理事長
第2章 「脱大資本主義」の薦め 植草一秀 スリーネーションズリサーチ(株)代表取締役
第3章 「大」と「帝」 高良鉄美 参議院議員・琉球大学名誉教授
第4章 欧州における危機の根源とは何か 成澤宗男 ジャーナリスト
第5章 鮮明になった日本の植民地主義 新垣 毅 琉球新報社編集局政治部長
第6章 米朝和平プロセス重大岐路に 菱木一美 広島修道大学名誉教授
第7章 安倍内閣と危機に瀕する文民統制 纐纈 厚 明治大学特任教授
第8章 植民地責任としての「基地引き取り」
乗松聡子『アジア太平洋ジャーナル:ジャパンフォーカス』エディター
第9章 植民地主義(コロニアリズム)型国家からの転換 佐々木 寛 新潟国際情報大学国際学部教授
第10章 日米合同委員会 吉田敏浩 ジャーナリスト
第11章 朝鮮半島和解のダイナミズムと東アジアの平和秩序の構築 木村 朗 鹿児島大学法文学部教授本書は日米安保体制と日米合同委員会、沖縄の米軍基地と日米軍事一体化、朝鮮半島問題などを主な題材として取り上げ、脱大日本主義の構想を提示している。それは、日本の内と外なる植民地主義の克服、そして対米自立と東アジア不戦共同体の構築に他ならない。
脱大日本主義の選択は日本の政治と経済に新たな地平を拓く
友愛共和主義の下での脱大日本主義の選択は日本の政治と経済に新たな地平を拓くことにつながると信じる。
外にあっては、東アジアにおける連帯に務め、内にあっては定常経済の下で、教育、文化、福祉、医療、介護、地域、新しい公共などを重視する新たな分配政策を実現することである。高齢化時代の成熟国家としての幸福追求の新国家モデルを世界に向けて打ち立てることである。日本が生き残れる道はそこしかないことを断言する。(第1章鳩山友紀夫氏から抜粋)安倍内閣が推進する政策路線は、「売国強兵」に他ならない
かつて日本は「富国強兵」で「大日本主義」を推進し、日本の主権者を苦しみの淵に陥れた。現在の安倍内閣が推進する政策路線は「富国強兵」と表現するよりも、「売国強兵」と表現する方が適切であると思われる。その「売国強兵」政策をもたらしているイデオロギーが「大資本主義」である。この基本構造を除去しなければ、日本の主権者の利益を追求する政治は実現しない。(第2章植草一秀氏から抜粋)
「脱亜入欧」ではなく「入亜脱米」「対米自立」が喫緊の課題
我々が今学ぶべきなのは、明治維新の精神ではなく、戦後民主主義の原点である日本国憲法の精神である。今こそ、安倍政権下で浸透する「排外主義的なナショナリズム」や「脱亜入欧」「富国強兵」という戦前の日本と重なる大国主義・軍国主義路線を、「開かれた地域主義」「アジアとの共生(東アジア共同体の構築)」「脱米入亜」「脱大日本主義」の方向に180度転換すべきである。(第11章木村朗氏から抜粋)
本書『脱 大日本主義の薦め』は、コロナ禍後の「日本再生」考える際に、多くの示唆を与えてくれる。
【金木 亮憲】
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