2024年12月23日( 月 )

コロナ対策とタクシー・デマンド交通(後)

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運輸評論家 堀内 重人 氏

 コロナ対策に関して、鉄道、バスと書いてきたが、今回はタクシーと過疎地などで運行される乗合タクシー・デマンド交通について、言及することにする。
 タクシー運転手さんのからは、「2時間以上待っても、お客さんが1人もいなかった。こんなことは初めてだ」という悲鳴が聞かれます。利用者からは、「タクシー=密室で三密になる」というイメージがもたれています。
 それを少しでも払拭して、タクシー事業の活性化だけでなく、過疎地で利用する乗り合いタクシー・デマンド交通に関しても、安心して利用してもらえるようにしたい。

乗り合いタクシー

 乗り合いタクシーは、路線バスとタクシーの中間的な輸送手段であり、ワゴン車などを用いて、運行される。乗り合いタクシーの定員は、9名程度であるため、普通免許で対応が可能であるだけでなく、過疎地では従来型の路線バスを運行するほどの需要が見込めないため、路線バスから乗り合いタクシーに転換される事例が見られる。

 都心部では、道路の幅員が狭く、従来型のバスが運行できないため、ワゴン車を用いて、乗り合いタクシーが運行され、高齢者の外出促進に貢献している。これは高齢化が進展したため、足腰が弱くなった高齢者にとれば、歩いて駅まで行くことが苦痛になっている。コミュニティバスを求めたが、道路幅員が狭くて運行できないため、乗り合いタクシーというかたちで、公共交通空白地域を解消している。

 乗り合いタクシーの運賃は、均一性が採用されることが多く、利用者は直接、運転手さんに現金を支払っている。ワゴン車で運転されることから、「三密」になりやすい環境にあるが、定期的に窓を開けて換気を行ったり、マスク着用の乗車を奨励したりする必要がある。運転席と客席の間は、透明なビニールのカーテンで仕切り、運転手さんの安全性も担保しなければならない。

 決済に関しては、交通系電子マネーを用いた決済を推進させ、現金の収受を減らして、運転手さんの安全性の担保と、労働の負担を軽減させる必要がある。
 その財源として、「地域公共交通確保維持改善事業」からの補助を活用したい。

デマンド交通

 乗り合いタクシーですら、運行するだけの需要が見込めない地域では、電話などで事前に予約を行うデマンド型の公共交通が運行されている。運行に関しては、安全性や安定した輸送を担保するため、地元のタクシー事業者などに委託して運行されることが多い。そしてデマンド型の公共交通が運行される地域は、路線バスの需要も少ない地域であるから、路線バスとの共存共栄を図るため、路線バスのバス停などを拠点として運行され、両者の乗り継ぎが図られている。

 デマンド交通の運賃も均一性が多いが、タクシーのメーターを動かし、利用者から徴収した運賃と、メーターで表示された運賃との差額は、自治体がタクシー事業者に補助していたりする。そのため過疎地のタクシー事業者にとれば、安定した収入源にもなっている。

 デマンド交通が運行される地域は、急峻な山間地であることが多く、その周辺で運行される路線バスも、交通系電子マネーで決済できないことが多かったりする。
 デマンド交通が運行される地域は、運転手さんも定期的に乗車する人の顔がわかっていることから、決済に関しては、利用者の銀行口座から引き落とす方式の導入も、検討する必要がある。

結論

 タクシーや乗り合いタクシーでは、運転手さんや乗客の感染リスクを軽減するため、クレジットカードや交通系電子マネーによる決済を、普及させるようにしたい。財源は、「知己公共交通確保維持改善事業」のなかの「バリアフリー」という項目を適用させたい。またタクシーに関しては、強盗が多発しているうえ、少子化の進展もあり、運転手不足が慢性化しつつある。安定した供給を継続させるためにも、運転手さんの精神面での負担を減らし、少しでも魅力のある労働環境を提供するようにしなければならない。

 デマンド交通に関しては、お互いが顔見知りであったりするため、銀行口座などからの引き落としを行うなどを、検討すれば良いだろう。

(了)

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