ゼロから農福連携を目指す 福の浦ファーム
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地域経済活性に尽力
新たな挑戦に年齢は関係なし――70歳を目前にして農業経営をはじめた、福の浦ファーム代表の高木教光氏。
高木代表は家業のガソリンスタンド経営に携わったのち、病気のためやむなく事業を解散した。その後、高木氏はいくつかの企業からオファーを受け、各企業内で販売促進・社員教育および研修、経営の合理化・活性化を手がけた。
さらに各企業内で数々の実績を残すと、地場企業と学校をつなぎ、就職支援事業や青少年健全育成、起業支援事業などを目的としたNPO法人の代表として活動を始める。その活動は評判を呼び、「地元、福岡の地域経済活性化のために全身全霊を捧げたビジネス人生だった」(地元経済アナリスト)と、一目置かれる存在になっていく。
農業と福祉をつなげる
長きに渡りビジネス界で活躍した高木氏は、昨年(2019年)3月でいったんピリオドをうつ。そして同年6月からは、糸島市で農業をスタートさせた。農業に精通した旧知のパートナーと2人での船出だ。
高木氏になぜ農業の世界に転じたのかを問うてみた。
「もともと農業には高い関心がありました。素人ながら10年近く家庭菜園で野菜を育ててきました。菜園を耕して種を播き、水をやりながら作物を育てることは、とても楽しいです。本業では自ら経営し、各企業でマネジメントの仕事を長い時間やってきました。相応に力を注いで成果を出してきましたものの、何か物足りなさを感じていたのです。前職の業務で福祉業界に関わりをもち、ある現場で農業との連携を実践していることを知りました。ハンディを持つ方々や高齢者が農業に勤しみ、収入を得て社会参加する現場を目の当たりにしました。この姿を見て、農業と福祉を連携する事業で新たな挑戦をすると決心したのです」
“生きがい・やりがい”ある農業
高木氏が感銘を受けた農業と福祉の連携のかたち「農福連携」は、障がい者など社会的弱者が社会参加する新しい取り組みとして国も推進している。農水省によると、農福連携は「障がい者等が農業分野で活躍することを通じ、自信や生きがいをもって社会参画を実現していく取り組み」で、「障がい者等の就労や生きがいづくりの場を生み出すだけでなく、担い手不足や高齢化が進む農業分野において、新たな働き手の確保につながる」と、その可能性を高く評価している。同省ホームページ内では、農福連携での活動する映像や具体的事例が紹介されており、事業展開に関する詳細も明記されている。
高木氏は現在1,000m2の畑を2カ所、2,700m2の水田を1カ所保有している。育てる作物は、じゃがいも・たまねぎ・そらまめ・いちじく・ステックセニョール・レモンなど。すべてを無農薬栽培しており、さすがにいくつものビジネスを成功させたこだわりが垣間見える。
「糸島市内の耕作放棄地を借り受けて、自らの手で土壌整備して作物を育てています。今はまだ農福連携の土台づくり。まずは生産から出荷までの道筋をつくり、最終的には収益を上げていきます。我々の農業経営で障がい者や高齢者の方々に生きがいとやりがいをもっていただくこと、さらに健常者と同等の待遇で働ける環境を提供していきます」(高木代表)
福の浦ファームは今年10月に2人を雇用する予定で、さらに3年後には農業法人への改組を目指す。農福連携で地域社会をより進化させる高木代表の取り組みを、今後もレポートし続けたい。
【河原 清明】
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