佐世保児相に突然引き離された親と子(3)
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長崎県・佐世保児相もう一つの「闇」
家庭への調査(訪問)、指導を行わず、当時8歳の男児を一時保護し、保護者とトラブルを起こしている佐世保こども・女性・障害者支援センターの児童相談所部門(以下、佐世保児相)。男児は7月23日に佐世保児相の申し立てを受けた長崎家庭裁判所佐世保支部が、小規模住居型児童養育事業者への委託を承認し、家族との別離は7カ月間を超えた。そして、委託先は両親側にはどこなのか知らされていない。そのようななか、男児の話を根拠とする佐世保児相の主張は、保護者の両親の主張と食い違う点が多々。専門職による事前調査が行われなかったことが混乱を招いているとも考えられる。
明かされない送致に至る経緯
食べ物への執着心からウソをつくこともあったという男児。一般市民の通報で駆けつけた佐世保市職員は、男児に聞き取りをしていたというが、当時8歳の子どもの話を鵜呑みにせず、1度両親に確認をとることをなぜしなかったのか。男児は、「家族は外出している」と言ったとされているが、実際は家におり、当時9歳の姉が2度、弟が連れ去られたひうみの丘公園に行っている。1度目は、母親から渡されたおにぎりを弟に届けるため、2度目は家に帰らない弟を迎えるためだ。
「私がおにぎりを届けた時に、弟を連れて帰っていれば」と、姉は自分を責める。長男と離れ離れになった姉弟の受けたショックはどれほどのものか。両親だけでなく、姉弟もまた、連れ去られた長男のことを聞いてほしかったと思っている。事前に家庭への調査が行われなかったことについて、その理由は、7カ月が過ぎた今も、佐世保市から明らかにされていない。両親の情報開示請求に対し、公開されたのは真っ黒に塗りつぶされた文書であった。
専門機関であるはずの佐世保児相の対応は、両親の不信感を募らせるものだった。なかったことにされた「3週間をメドに家に帰す」との発言(4月14日)以外に、男児の伯父による親族里親の申し出は拒否され(4月23日)、父親が会社の上司とともに佐世保児相を訪れると「担当者不在」として門前払い(4月25日)。実際に男児の家庭を調べている児童委員が、男児との面談を申し出ているが、これも拒否されている。
忽然と姿を現した打撲痕
一方で、佐世保児相における職員との面談では、明らかにされていない内容が浮上する。小規模住居型養育事業者への委託措置を7月23日に承認した長崎家庭裁判所佐世保支部が、その理由のなかに記した『右太腿部の2カ所の打撲痕』だ。佐世保児相が男児本人から聞いたとする話では、「母から布団たたきで叩かれた。時期・理由は覚えていない」となっている。しかしなぜか、この内容は、佐世保児相が同家裁に委託措置の承認を求めた申し立て(5月27日)のなかには出てこない。また、3月31日に決定された一時保護の解除を求めた父親の県知事あての審査請求に対し、5月12日に佐世保児相が県知事に提出した弁明書にも明記されていない。佐世保児相が虐待の疑いの根拠という打撲痕が忽然と姿を現したかたちだ。なお、母親は、「家族のアレルギーがあるため、ほこりを飛ばさないよう布団たたきは使っておらず、家にもない」と話している。男児の一時保護を決定した3月31日から、虐待を理由に、佐世保児相は両親に、里親へ出すか養護施設入所の承認を求めている。虐待の強力な証拠と思える打撲痕の存在を保護者側(支援者含む)は、家裁の審判を通じて初めて知ったことになる。
「頭が良く、言葉が豊富な子どもで、簡単なウソをつくこともあるかと思います」と、両親側について、この問題に関わっている児童委員は話す。母親は、周囲の気を引くためにウソをつくことに、「そう話すことがどういうことになるのか、わかっていないのではないか」と気を揉む。両親がダメならと、児童委員が男児と面談することを望んできたが、佐世保児相は頑なに拒む。さらには、真相解明をより困難にする事象が訪れた。佐世保児相の担当職員の病気休暇などである。
(つづく)
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