コンビニ市場、成長に陰り~コロナ禍で問われる真の実力(中)
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小売業界のなかで数少ない成長業態、コンビニエンスストアに変調の兆しが表れている。2019年、国内店舗数が減少に転じたのである。成長を牽引してきた(株)セブン-イレブン・ジャパン、(株)ファミリーマート、(株)ローソンの大手3社の出店抑制と閉店加速がその要因だ。コンビニは昨年、人手不足による24時間営業をめぐる本部と加盟店の問題が表面化した。足元では新型コロナウイルスが直撃する。コンビニは真価を発揮できるのか。
表面化した24時間営業問題、チャージを見直したセブン
変調が生じたのは市場成長にブレーキがかかったことだけではない。コンビニでは昨年、24時間営業をめぐる本部と加盟店の問題が表面化した。
大手3社における本部と加盟店が結ぶ契約は、本部が加盟店に経営支援を行い、加盟店は店舗粗利益の一定割合をロイヤルティとして本部に支払う粗利(売上総利益)分配方式をとる。弁当などの廃棄ロスは加盟店負担(一部本部負担)で、従業員の人件費はロイヤルティを支払った後の加盟店の経費となる。ここ数年、あらゆる産業で人手不足が深刻化していたが、コンビニでも例外ではなかった。24時間営業を原則とするコンビニで、深夜の時間帯に従業員が確保できない場合は加盟店のオーナー自身が売り場に立つことが多い。しかし、それではオーナーが疲弊する。そんななか、セブン-イレブンで昨年2月、人手不足を理由に大阪の加盟店が時短営業を強行し本部と対立した。
昨年4月には、本部と加盟店の問題を解決するため社長が交代。10月には、本部に支払うチャージ(ロイヤルティ)におけるインセンティブを、加盟店支援のために20年3月から見直すことを発表した。すでに実施していたインセンティブは、24時間営業店へのチャージ率2%引き下げと、1%の特別減額だ。これを見直しでは、24時間営業店で売上総利益額/月が550万円超の場合は、現行インセンティブに月額3万5,000円のチャージ減額が追加され、550万円以下の場合は月額20万円のチャージ減額のみ。一方、非24時間営業店で売上総利益額/月が550万円超の場合は1%特別減額に月額1万5,000円チャージ減額が追加され、550万円以下の場合は月額7万円チャージ減額される。
セブン本部はこれらのチャージ減額によって、本部利益は100億円のマイナスの影響を受けるが、加盟店1店あたりの利益が年間で50万円改善すると見込む。加盟店支援のためにインセンティブ・チャージの見直しという手を打ったセブンだが、加盟店が時短営業を強行しなければ、ここまでの対応策を講じることはなかっただろう。チャージ見直しは、本部の収益を圧迫しコンビニの根幹を揺るがしかねない。そこに手をつけざるを得なかったところに問題の深刻さが表れている。リーディングカンパニーであるセブン-イレブンの対応はファミリーマートやローソンにも影響を与え、業界全体が時短営業を含め加盟店支援を優先するモードに入った。
そんな転換期に入ったコンビニだが、19年度(20年2月期)の業績をみると、どこもコストの増加を抑制し、増益に結びつけている。セブン-イレブンは、広告宣伝費を始め経費を抑制したことが奏功し営業利益は2,539億円で、前期比3.6%の増益。ファミリーマートは、地代家賃を削減するなどして、事業利益(営業利益に相当)は25.2%増の645億円。ローソンも、地代家賃を始めとした経費を抑制したことで営業利益629億円(3.6%増)となった。
(つづく)
【本城 優作】
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