2024年12月22日( 日 )

予防医学のエキスパートが勧める免疫力をサポートする食材とは(後)

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海風診療所 沼田 光生 氏

 今年は新型ウイルスによる感染症の影響が続き、治療法が確率されていないなか、これまで以上に予防対策が注目されている。なかでも医療・栄養関係者や各メディアが大きく紹介しているのが免疫力の維持・増進。今回、医療の面からどのような食品が免疫に寄与するのか。食を通じた栄養補給による予防医学を推進する、海風診療所の沼田光生氏に話を聞いた。

 ――先ほど味噌などの発酵食品も免疫をつくるとお話されていましたが、酵素とかも良いのでしょうか。

 沼田 酵素は「人間の寿命は、体内の酵素量で決まる」といわれ、主に野菜や果実などを熟成・発酵した食品で、ビタミンB、C群やタンパク質を豊富に含んでいます。酵素は主にダイエット用途で販売されている健康食品が多いですが、実は免疫力を高める食品でもあります。

 ほかに、酵素とは製造過程が違いますが、野菜や果実を含む健康飲料では青汁もお勧めす。青汁は主に大麦若葉やケールを主体としたものが多く、主にビタミンB群を多く含み、免疫力維持・増進に寄与することが明らかにされています。最近は乳酸菌など配合させた青汁もあり、酵素のように食事バランスも補完できる健康飲料として摂取して良いと思います。

 加えて発酵食品のカテゴリーでは黒酢も良いと思います。黒酢は特産地が鹿児島県で、「壺つくり」と呼ぶ、江戸時代から伝統の発酵製法でつくられ、アミノ酸や食物繊維、善玉菌を含んでいます。これまで抗酸化、中性脂肪・血糖値・コレステロールの低下、血流改善などが臨床試験で報告されています。免疫関連については、NK細胞の活性で免疫力が落ちにくいという研究データがあります。

 ――言われてみれば納得できる食品ばかりです。このほか先生が最近、とくにお勧めしている免疫をつくるのに最適な食品素材はございませんか。

海風診療所 院長 沼田 光生 氏

 沼田 とくに勧めているのは高麗人参です。江戸時代から万病予防の漢方薬として使われ、特産地の韓国では数千年前から滋養強壮、抗酸化、血流改善などの健康維持に欠かせない栄養食材として長く摂取されています。とくに私がおすすめしたいのが「紅参(こうじん)」と呼ばれ、高麗人参でも最高級の6年根を加工した物です。紅参に多く含まれる有効成分「ジンセノサイド」が体を強くし、さまざまな病気から守る作用をもっています。

 日本ではまだですが、韓国食品医薬品安全処による韓国版の特定保健用食品制度において、紅参は、免疫力の改善のほか、疲労回復、記憶力向上、血行改善、抗酸化作用、更年期障害改善の効果があると表示できます。私の診療所でも「紅参末」という漢方薬として処方しています。血流を良くすることで体温を高める働きがありますので、就寝前に摂取することで先程お話しした質の良い睡眠にもつながります。さまざまな機能性をもつ、良質な睡眠や体温上昇にもつながる優秀な食材としてお勧めです。

 ――今回の新型ウイルスは長期化すると言われており、今後も新たな疾病は発生すると思われます。予防医療のエキスパートとして、病気から体を守る上で常に気を付けなければならないポイントについてお聞かせください。

 沼田 私は精神・血流・栄養を「ニコニコ」「テクテク」「カムカム」という、わかりやすい言葉で病気の予防ができると考えております。「ニコニコ」とは笑顔を意味する心のコントロール、「テクテク」とは「てくてく歩く」という意味で血流を良くする運動、「カムカム」とは噛むことを示す栄養のコントロールです。

 日頃から笑うことで精神的なストレスをなくすようにし、適度な運動を行って、栄養バランスの良い食事をしっかり摂ることが重要です。これだけでも免疫力は高まりますが、食事の部分で免疫を上げるものを挙げさせていただきました。先程、免疫力の7割は腸内で活動しているとお話しさせていただきましたが、残り3割はその他の体の部分が占めているというわけではなく、それぞれ皆さまの心がけ、つまり自律神経によるものです。

 先ほどもお伝えしましたが、新型ウイルスの治療法か確立されていないなか、これまで以上に予防医療が重要だと確信しています。そのための方策として免疫機能をサポートする食事摂取は重要であり、今後も微力ながら感染拡大予防として、患者を増やさない、未病を通じた啓発活動を推進していきたいと思います。

(了)

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