前駐ベトナム大使・梅田邦夫氏特別講演レポート「日本にとってのベトナムの重要性」(11)
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NetIB-Newsは、DEVNET INTERNATIONALから提供いただいた前駐ベトナム日本国大使・梅田邦夫氏の講演レポート((公社)ベトナム協会)をお送りする。今回は「ベトナム人技能実習生」について。
技能実習生への対応
技能実習生については、2017年11月の法律改正で日本では「監理団体」が窓口となって、実習生の選抜などはベトナムの「送出機関」と調整することとなりました。「外国人技能実習機構」が「監理団体」を監督します。
ベトナムでは、訪日を希望する技能実習生候補者を募集する段階で多くの場合、ブローカーが介在します。求職者の採用が決まると、1,000米ドル程度の紹介手数料がブローカーに払われます。
また、「送出機関」に入所した訪日希望者は、数カ月の訓練を受けるために、「送出機関」への手数料を支払う必要があります。その上限額は、法令上3年派遣で3,600米ドルと決められていますが、「悪徳送出機関」は、さまざまな名目をつけ、追加料金を支払わせています。
20年5月時点では、ベトナムには「送出機関」は約360社あって過当競争気味です。そこに付け込んで、「日本の監理団体」のなかには、管理費のキックバック、ベトナムでの面接時の接待(旅費、宿泊費、観光、カラオケ)を「送出機関」に求める者もおり、これら代金も最終的には技能実習生の負担となります。
19年10月、イギリスで39名のベトナム人が冷凍コンテナで窒息死するという衝撃的な事件が発生しました。不法に密入国し、大麻の栽培など不法ビジネスに従事するということですが、死亡した人たちは、ベトナム出発に前に4~500万円をブローカーに支払っていました。この事件は、密入国あっせんという不法行為の哀しい結果です。
日本に行く技能実習生および留学生は、建前上、法令に基づき実施されているとはいえ、書類を偽造したり、規定以上の料金を支払わせたり、裏契約を作成するなど、ある意味、不正に金儲けの種にされているという意味では同じです。
また、日本の反社会的集団が、人の送出ビジネスに関与しているとの情報もありました。今回、疑われていた人たちは、別件で国外退去となりましたが、ひき続き、ベトナム公安当局との監視・協力が必要です。技能実習関係当局の決断
すでに説明した通り、偽装留学生に関わる問題については、大使館のみならず、文部科学省、法務省もようやく、真剣な取り組みを開始しました。
その一方で、残念ながら、技能実習については、問題が多発しているにもかかわらず、昨年10月、不正行為を行った2つの監理団体の認可取消しがなされたのみです。ブローカー排除に加え、不正行為をした「送出機関」や「監理団体」、企業をさらに排除する等の思い切った措置が必要と思われます。
とくに、犯罪者や失踪者、不法滞在者を多く出している「送出機関」や「監理団体」などについては、関係当局は、すでに処分材料を有していると思われ、迅速な行動が求められています。なお、日本とベトナムは、19年に「受刑者移送条約」を締結しており、現在、「刑事共助条約」を交渉中です。
(つづく)
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