コロナワクチンの熾烈な開発競争(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
ワクチンの開発では、どのような点が重要で、現在どのような状況であるのかを見てみよう。ワクチンを開発するうえで重要な点は、ワクチンの安全性と病気を抑える能力があるかどうかだ。ワクチンの開発には、一般的に5~10年の歳月が必要だ。さらに、ワクチンの開発には、10億ドル以上という莫大な開発費用が投入される。
一方で、ワクチンの開発は、巨額な費用と長い歳月をかけて開発に挑んでも、失敗に終わる確率が約93%に上るため、ギャンブルのようなものだ。そのため、製薬会社は単独ではワクチンの開発にあまりチャレンジしようとはしない。
加えて、ワクチン開発の最大の難関は、予期せぬ副作用である。ワクチンを接種された人が、あとで他の疾病にかかりやすくなるという事例が多く報告されている。そこで、このような壁を乗り越えるために、全世界が力を合わせて新型コロナウイルスに対応しようという動きがある。
その1つが伝染病流行対策イノベーション連合(CEPI)である。この機構は10億ドルの資金調達を目標として、ワクチンの開発に挑んでいる。この機構では従来は5~10年もかかっていたワクチン開発の期間を、約6~18カ月に短縮することを狙っている。この機構以外にも、世界ではワクチンの開発が進められており、128のワクチンが前臨床の段階で、臨床を進めているのも約16種類あるといわれている。臨床試験は第1相試験から第3相試験まで3段階ある。
第1相試験では、安全性の検査を目的とする。第2相臨床試験に進んでいるワクチン候補は数種のみで、第2相試験と第3相試験ではともに有効性が調べられる。しかし、今回のような緊急事態の際には、FDA(食品医薬品局)はDNAワクチンなど安全性が立証された技術に限って、毒性テストなどを免除することで、6カ月以内に第1相に入ることが可能になった。しかし、第2相と第3相には、やはり時間がかかるので、ワクチンの開発には、最低でも1年くらいの期間は必要になる。米国や中国などでは、来年1月にはワクチンの市販が可能になるだろうと予想している。ワクチンが開発されると、新型コロナウイルスは新しい展開を迎えることになるだろう。
今開発中のワクチンのなかで、もっとも有力視されているのはレムデシビルである。レムデシビルは5月7日に日本で新型コロナウイルス感染症治療薬として承認。米国ではFDAが5月1日に緊急使用許可を出した。レムデシビルは、もともとエボラ出血熱の治療薬として開発されていた薬だ。
レムデシビルは、コロナウイルスを含む一本鎖RNAウイルスへの抗ウイルス効果を示すことが明らかになっている。そのため、新型コロナウイルスの治療薬としてもっとも有力視されている薬剤の1つである。新型コロナウイルスのワクチンは免疫機能を避けるHIVに比べて開発がしやすいという。米国、日本、ヨーロッパ、韓国などの製薬会社がワクチンの開発にしのぎを削っている。一日も早く、ワクチンが開発されたというニュースを聞きたいものだ。
(了)
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