【連載5】トランプ関税とメディア廃棄宣言
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NetIB-NEWSでは、政治経済学者の植草一秀氏のメルマガ記事を抜粋して紹介する。今回はメディアによって人心が誘導されていると指摘したうえで「巨大メディアに対抗するために力を結集することが必要だ」と訴えた4月11日付の記事を紹介する。
今回の植草メルマガ記事は、シリーズ『ドナルド・トランプとは何者か』の第5回としてご案内する。4月8日付ブログ記事「トランプ金融波乱のゆくえ」
https://x.gd/WAd7gメルマガ記事「トランプ関税政策の深謀遠慮」
https://foomii.com/00050
にこう書いた。「トランプ関税始動を背景に海外諸国が輸入関税の引き下げに動き、その動きを確認してトランプ大統領が、今回設定した関税率の引き下げを表明することになるかも知れない。
金融市場はトランプ関税始動に伴う世界経済悪化を警戒し、株価下落で反応しているが、今後のトランプ言動によって逆の市場反応が表面化する可能性は低くないと考えられる。」予想通り、トランプは動いた。〈朝令暮改〉、好意的に表現すれば〈君子豹変〉。トランプは来年秋の中間選挙を睨んでいる。この選挙で大敗すれば大統領任期後半は完全にレームダック化する。
トランプは株価動向を気にしている。世界の株価下落連鎖が加速する現実を見て路線修正を迫られた。トランプ大統領は報復措置を講じていない日本を含む一部の国や地域に対する上乗せ関税を一時停止すると表明。これを受けて内外株価は急反発した。日経平均株価は歴代2位の上げ幅を記録した。
トランプ大統領は4月4日にSNSで関税政策は決して変わらないと宣言したばかり。しかし、いつでもくるくる変わるのが〈トランプ流〉。〈絶対に代わらない政策〉は〈いつでも変わり得る政策〉と理解しておくことが肝要だ。
しかし、〈トランプ流〉には危うさがつきまとう。関税政策についてはナバロ氏の意向が背景にあると見られるが、イーロン・マスク氏は高関税政策に反対している。高関税政策で株価が急落し、関税の一部凍結を発表したら株価が猛反発した市場の反応をトランプは観察していると見られる。
マスクの主張の方が正しいと認識を改める可能性がある。トランプは経済政策に明るくない。経済政策運営は〈人選がすべて〉である。大統領自身が経済政策の専門家である必要はない。もっとも優れた人物を要所に配置することが大統領の責務。
トランプは試行錯誤だが、その実験を生身の経済でやられてはたまらない。株価暴落は大きな金融破たんの原因になる。金融破たんが連鎖すれば恐慌に発展する。〈トランプ流〉は大惨事と背中合わせである。
世界経済は相互依存。トランプは報復関税を提示しない国の関税発動を90日間凍結したが、一律10%の基本税率は継続。自動車や鉄鋼などへの25%の追加関税も維持している。さらに、中国からの輸入品に対して賦課する関税が現在、合計で少なくとも145%に達しているとホワイトハウスが明らかにした。中途半端な90日間凍結では霧は晴れない。
10日のNY市場では当初、ダウが大幅に反落した。中国に追い付かれ、追い抜かれる米国。米国は現実を受け入れられない。覇権国家と台頭する新興国家が戦争不可避な状態にまで衝突する現象を〈トゥキュディデスの罠〉と表現する。米国の政治学者グレアム・アリソンによる造語。
世界経済は相互依存。相互理解・相互尊重・相互信頼の関係を築くことが何よりも大事だが、正反対の行動が取られている。
※続きは4月11日のメルマガ版「植草一秀の『知られざる真実』」「トランプ関税とメディア廃棄宣言」で。
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