コロナ禍、注目すべきは「年代別死亡者数」(中)
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国際ビジネスコンサルタント 浜地 道雄 氏
筆者が石油担当商社マンとして、イランの首都テヘラン駐在時の1973年に「石油ショック」が発生。原油価格の高騰となり世界を揺るがすこととなった。日本では「トイレットペーパー」騒動(パニック)も起きた。そのパニックを彷彿させる今回の「コロナ禍」、その正体を我々は、はたして正確に認識し、正しく恐れているのか。
緊急事態宣言にエビデンスはあったのか
そして4月7日、政府は大々的に緊急事態宣言を発令した。結果として、市民生活、物流、雇用、交通などあらゆる分野で社会システムが混乱に陥っている。しかしこの宣言、一体いかなる根拠・エビデンスに基づいて発令されたのだろうか。
新型コロナウイルスによる死者数はインフルエンザによる死者数(3,325人/厚労省2018年)より少ない。むしろ緊急事態宣言による生活破綻・失業によって起こる自殺者数のほうが上回るのではないかという試算すらあるくらいだ。
専門家会議の尾身茂副座長は「他分野(経済など)の専門家も入れるよう提案したが政府が受け入れなかった」と吐露している。その後、感染症の専門家らで構成していた政府の「基本的対処方針等諮問委員会」に、4人の経済専門家が加わったが、さあ、どういう施策となっていくのか。
政府は5月15日、39県での緊急事態宣言を解除し、22日には関西三県、大阪、京都、兵庫で解除。そして5月25日には、東京、神奈川、埼玉、千葉、1都3県、いよいよ全国的解除となった。
解除判断の目安の1つは「直近1週間の新規感染者数の累計が人口10万人あたり0.5人程度以下」というもの。だが、要するに統計学上の有意性がない数値に右往左往する姿が、「不確実性」なのだ。そもそも緊急事態宣言そのものが一体何だったのかと大きな疑念を抱かざるを得ない。ビジネスへの大打撃
物流については、中国の製造拠点がなくては日本の製造業は成り立たない。多くの原材料、製品が世界の隅々を往復し、ロジスティックになっている今の世界が崩壊した。
日本政府観光局(JNTO)が5月20日に発表した2020年4月の訪日外国人数は、前年同月比99.9%減の2,900人だった。2019年4月のわずか0.1%に過ぎず、7カ月連続で前年同月を下回ることになった。単月の訪日外国人数としては、JNTOが統計を取り始めた1964年以降で最少だった。また、1月から4月の合計は394万2,800人(前年同期比64.1%減)となった。日本政府は4月3日から水際対策を強化し、100の国と地域からの入国を拒否しているのだが、改めて数字を見ると愕然とする。
ある調査によれば、2020年中に日本に旅行したいと答えた人は中国人が62.0%、台湾人が43.0%。日本国内への入国制限が続くなかでも、訪日を心待ちにしていることがわかる。アウトバウンドについてもしかり。発表によるとJALとANAのゴールデンウイークの国際線利用者数は8,621人、なんと前年比、98.2%減。「ビジネス崩壊」以外に表現のしようがない。
1月の感染症警戒発出から解除まで、事態を注視してきて気が付き、困惑するのはいわゆる専門家の言説がいかに不確かかということだ。専門家を名乗る人物が多々登場するが、それぞれの発言や解説が日々変化しており、つまるところ「新型コロナウイルスの専門家はいない」と断言せざるを得ない状況だ。医学研究畑の専門家もその内容は多岐にわたるし、臨床現場の医師の悲鳴も聞こえてくる。
(つづく)
<PROFILE>
浜地 道雄(はまじ・みちお)
1965年、慶応義塾大学経済学部卒業。同年、ニチメン(現・双日)入社。石油部員としてテヘラン、リヤド駐在。1988年、帝国データバンクに転職。同社米国社長としてNYCに赴任、2002年ビジネスコンサルタントとして独立。現在、National Geographic/Cengage Learning kk, Project Consultant EF Education First Japan, Senior Advisor.関連記事
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