【スクープ】アイランドアイのホテル事業で内紛 高島市長のオトモダチ企業が詐欺的集金か
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福岡市東区の和白沖を埋め立てて造られた人工島「アイランドシティ」のほぼ中央にあたる「センター地区」でのホテル開発をめぐって、運営予定者の株式会社HEARTS(以下、ハーツ社)と健康食品通販の「やずや」の間でトラブルが発生している。
「Little JAPAN」はどこへ? 当初計画からかけ離れた現実
データ・マックスは2017年12月に、「アイランドシティを舞台に新たな疑惑~Little Japan」と題して、アイランドシティセンター地区のホテル・アミューズメント施設建設計画に絡む疑惑を報じていた。
疑惑の中心人物は、高島宗一郎・福岡市長の「オトモダチ」である、ハーツ社代表の戸島匡宣氏。数々の金銭トラブルを抱えていた人物がなぜ、巨額の公費が投じられる事業の運営主体に名を連ねているのか? この問題提起が核心をついていたことを物語る事実がいま、司法の場で明らかになっている。
問題のホテル「福岡アイランドシティホテル」(以下、福岡ICホテル)は今年11月の完成を目指して建設が進んでいるが、先行して今年3月にオープンした付属商業施設「アイランドアイ」は目論見通りの集客が果たせず、コロナ禍も重なったこともあって17年の記事中で予想していた通りの悲惨な状況に陥っている。さらにホテルの売りになるはずだったMICE(会議や研修会、集会などのイベント)事業もコロナ禍で実施が危ぶまれており、アイランドアイの大型免税店「FUKUOKA BAY PLAZA」は後述する金銭トラブルのためにオープンしないまま4カ月が過ぎた。
そもそも、このホテル計画の「目玉商品」は、いまは広大な駐車場となっているホテル前のスペースに造られたはずの「Little Japan」と銘打たれた体験型アミューズメント施設だった。それが紆余曲折、なぜかハウステンボス歌劇団の専用劇場がつくられ、100均ショップや学習塾が入るという、コンセプトのよくわからない中途半端なショッピングモールが誕生した。「ここはあまり人がいないから、感染を避けるにはちょうどいい場所」という買い物客のコメントこそ、アイランドアイの実態を物語っている。
ハーツ社の実態は自転車操業か―訴訟頻発
冒頭で述べた、「(17年の記事における)問題提起が核心をついていた」ことを物語る事実とは、福岡ICホテルの運営をめぐる内紛だ。
ハーツ社とやずやは、ホテルとそれに付随する事業(当初の計画では「Little Japan」運営事業も含まれる)にあたって福岡アイランドシティ特定目的会社(SPC)を設立し、不動産事業を行うジョーンズラングラサールなどがテナント募集などの施設運営を担当してきた。しかし、ハーツ社とやずやの間での金銭をめぐるトラブルが訴訟にまで発展しており、現在ハーツ社はホテル事業の運営から追い出されたかたちになっている。
7月2日に第一回口頭弁論が行われたのは、ハーツ社がやずやに対して起こした不当利得2,168万円の返還を求める訴訟だ。18年10月26日、ハーツ社はやずやからSPCの優先出資持分への出資金として13億4,000万円を借り受けた。返済期間は19年4月から28年10月までだが、契約内容には「ハーツ社について第三者から見ても信用できない事由が発生した場合、やずやがハーツ社の同意を得ずに質権を実行する」という内容が含まれていた。
そして19年9月9日、やずやからハーツ社に対して質権を行使する旨の通知が届く。やずやは出資した優先持分を10億円で売却しており、残金の返済を求めていた。ハーツ社の主張によれば同社はこの要求を「期限の利益喪失にともなうもの」と考え、19年9月30日と10月31日の2回に分けて、やずやに2,168万円を支払った。今回の裁判は、ハーツ社が支払ったこの2,168万円の返還を求めるもの。
やずや「ハーツ社はホテル事業にいっさい関係ない」
一方、やずやも貸金の返還を求めてハーツ社を提訴している。やずやの代表取締役社長で創業者の息子である矢頭徹氏は16年10月、ハーツ社に1億4,000万円を貸し付けた。連帯保証人はハーツ社代表である戸島匡宣氏で、無利子・返済期限は約4年後という好条件だが、ハーツ社が返済しなかったため、昨年4月に矢頭氏から債権を譲り受けたやずやが返済を求めて提訴している。
ハーツ社はやずやとの訴訟以外にも金銭トラブルを抱えている。アイランドアイで大型免税店「FUKUOKA BAY PLAZA」を運営するALEXANDER & SUN(本社:東京/以下、アレク社)は、ハーツ社に対して貸付金6億円の返済を求めており、昨年12月5日には東京地裁による仮差押命令が下されている。アレク社の訴えによると、ハーツ社は6億円を主にアイランドシティ事業にともなう「事業保証金」に充てるとしていたが、アレク社の調査でその主張が虚偽であることがわかったという。
取材に対してハーツ社はいっさいの対応を拒否したが、やずや側は「アイランドシティ事業に係る所は現在開業中の施設、及び建設中のホテルに関してH社(編集部註:ハーツ社のこと)の関与、関係性は一切ございません」と回答している。
複数の金銭トラブルを抱え、いわくつきの人物として有名だった戸島氏をアイランドシティの開発事業者に指名した福岡市の判断は果たして妥当だったのか。17年12月連載の締めの文を再度掲載しておきたい。
「計画通りに建設が進むか不透明で、もし完成したとしても売上不振で存続が危ぶまれるホテル。浚渫土で築かれた人工島の中心に、30億円の公金(立地交付金)を投入して建てられようとしているのは、そんな『疑惑の塔』だ」
【特別取材班】
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