ストラテジーブレティン(258号)~コロナパンデミック、最悪期は過ぎたのでは ならば株高は当然(後)
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NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。今回は2020年8月13日付の記事を紹介。
スウェーデンで成果を上げている(?)集団免疫戦略
集団免疫戦略を採用したスウェーデンでは(イギリスは当初の集団免疫戦略から転換した)、事態は改善しているように見える。ロックダウンしなかったことにより、経済に対するダメージが小さかった。スウェーデンでは4~6月のGDPは前期比8.6%減と、ユーロ圏の同12.1%減に比べてはるかに減少幅が少ない。また、スウェーデンの新規感染者数はピーク時の6月24日の1,803人から8月10日には139人へ、死者数はピーク時の4月15日の115人から8月10日の0人と大きく減少している。
断定するのはまだ早いが、「適切なソーシャルディスタンスのほうが、ロックダウンより有効」といえるかもしれない。爆発的に感染が拡大したパニック期を乗り切れば、事態は予想していた以上に好転するといえるのかもしれない。WSJ紙は「このスウェーデンのビジネスモデルを評価すべきだ」と8月6日付の社説で主張している。
高齢者に集中する重篤者
また新型コロナウイルスはスペイン風邪やインフルエンザと異なり、高齢者の重篤化率が圧倒的に高い。新型コロナ死亡者の平均年齢は平均寿命とあまり変わらず、日本80.8歳、ドイツ81.2歳、英国80.5歳、フランス80.8歳、米国76.7歳だ。つまり高齢者のケアさえ十分に行われていれば、50~60代以下の若年層の経済活動を過度に遮断する必要はないといえる。
新型コロナは低毒性ウイルス、大半は免疫で抑制という高橋教授仮説
国際医療福祉大学の高橋泰教授の仮説が、注目を集めている。
高橋教授は、「新型コロナウイルスはインフルエンザに比べて毒性が低く、感染しても多くの場合は無症状もしくは風邪の症状に留まるおとなしいウイルスである。そのため獲得免疫(※1)がなかなか発動しないが、ほとんどの場合ではすでに体内に存在している自然免疫(※2)でウイルスが抑え込まれる」と説明している。日本人(アジア人)はBCGなどによりすでに備わっている自然免疫力が高いため、新型コロナの発症率や重症化率が抑えられている、というものである。しかし、1万~2.5万人に1人程度という非常に低い確率で、サイトカイン・ストーム(免疫細胞が正常細胞を攻撃する)が起こり、重篤化する。高齢者や基礎疾患者は、この攻撃でダメージを受けるというのである。高橋教授は、自然免疫力の強い日本人の死者数は最大でも3,800人と計算している。
新型コロナをむやみに恐れなければならない時期は、終わったということではないか。
※1:獲得免疫
病原体を他のものと区別して見分け、それを記憶することで、同じ病原体に出会ったときに効果的に排除する仕組み。殺傷能力の高い抗体は、1種類の外敵にしか対応しないが、「ミサイルで敵を殲滅する軍隊」に相当する。^※2:自然免疫
侵入してきた病原体を感知し、排除しようとする生体の仕組み。外敵への攻撃能力はあまり高くないが、常時体内を巡回している「警察官」に相当する。^(了)
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