不動産で蓄財した在日中国人の価値観は多様化なり
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不動産で財を成すことは共通
福岡在住のAとBという中国人がいる。Aは来福前、北京でサラリーマンをしていた。同市中心部にマンションを構えていたが、排気ガスに悩まされて郊外(中心部から35k離れた場所)に一戸建を購入した。この2件の物件の不動産価値が10億円にまで値上がりし、現在は賃貸に回している。年間で家賃収入が1,500万円あるらしい。大船に乗った気分で悠然と家族連れで福岡へ転居してきた。
Aのツキはこれだけにとどまらない。5年前からインバウンド事業会社の会長に納まった。この2年間、ボーナスを1,000万円(半期)得てきた。来福してからでも6,000万円ほど現金を増やした。「もう中国には帰らない」と断言する。「でももし貴方が昇天したら奥さんは帰りたがるのでは?」と皮肉を浴びせてみたものの、Aは「俺が死んで以降のことならば妻がどうしようと構わない」と平然と応える。
留学生Bは「私は家賃を1円も払っていない」と答えたので「どうして?」と聞いたところ、中国で5年間住んでいた自身のマンションが4,000万円で売れ、その資金で博多区にマンションを購入して住んでいるという。手元にはなお1,000万円の資金を残している。Bの住んでいた中国のC市と福岡市の不動産の価値を比較すると中国側のほうが50%高い。このような事実を福岡の不動産関連者も意外と知らないのである。中国人の成金の蓄財の大半は不動産価格の高騰によるものと断じることができる。
しかし、価値観はさまざまなり
Bは大学卒業後に日本企業に就職する機会をうかがっている。「それでは日本に永住するか?」と尋ねると「いえ、最終的には中国へ帰るつもり」と断言する。「習近平・共産党政権は中国人民を押さえつけて好き勝手な政治をしているではないか?」と突っ込んでみた。するとBは「いやー、中国の庶民たちの間では習総書記は人気が高い。なぜ日本では習総書記に対する批判の声が強いのか理解できない」と、我々にとっては意外な反論が返ってきた。
Bの家族には共産党員はいないと聞いており、ただの庶民である。庶民たちの感覚からいえば「習共産党政権の下で我々は皆、物質的に豊かになってきたから満足している。私でも日本に留学できるからハッピー」ということになる。
片やAは過去に共産党に入党していた経緯もあるのだが、中国に骨を埋める気持ちはないという。理由は2つある。
(1)中国国内の生活環境が劣化し、人が住める都市ではないと感じているのだ。子どもが育てられる環境ではないと厳しい追及の声を挙げる。
(2)中国と比較して、福岡は自然環境が素晴らしく、人々がゆったりと生活している。この空気感は自身の心を和ましてくれる。日本が好きというよりは、都市福岡と相性が良いと感じているのだ。2人の価値観の比較対照をしたが、中国人も皆多様化しているのである。
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