【株主総会血風録4】東芝~「物いう株主」エフィッシモが改正外為法の審査に真っ向勝負で挑む!(3)
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今年の株主総会で、もっとも関心を集めたのは(株)東芝である。投資ファンド2社が、それぞれ推薦人物の取締役選任を求める株主提案を提出し、会社側と対立した。株主提案はいずれも否決され、会社提案はすべて可決された。もっとも注目されたことは「物いう株主」が、改正外為法の審査において、経済産業省に真っ向勝負を挑んだことだった。
窮地に立たされる経済産業省
今井氏が取締役候補になったことで、経済産業省が窮地に立たされた。
外為法改正の背景は、中国の脅威を念頭にして安全保障上、欧米諸国が外国資本による自国企業の買収を阻止する規制を強化する動きに乗り遅れないためと説明されてきた。だが実際には、株式市場を席巻する「物いう株主」(アクティビスト)の動きを封じることに狙いがあった。東芝のケースは、事前審査の案件の「第1号」だ。経産省が初の案件で判断を示さなければ、「何のための外為法改正か」との批判が出かねない。だが、エフィッシモは東芝のコンプライアンスを指摘しており、もし安全保障と関係ない理由で審査を止めたら、外国投資家の投資は減少するだろう。どちらを選択しても、経産省に批判の矛先が向く。経産省は判断に困り、エフィッシモに、「今井氏の取締役候補を取り下げてほしい」と伝えたいというのが正直なところだった。
エフィッシモは、株主総会で自ら賛成の議決権を行使するため、事前審査を受けた。だが、経産省は行使の可否の通知を示さなかったため、エフィッシモは経産省の判断を待たずにネットで議決権を行使した。
エフィッシモは7月30日、東芝株の一部を売却したため、保有比率が15.36%から9.91%に下がったと発表した。東芝は、独立性の観点から社外取締役の東芝株の保有比率の目安を10%未満としているため、今井氏を社外取締役に選任するよう提案しているエフィッシモがそれに応じた。
エフィッシモは国廣弁護士のアドバイスを受け、改正外為法の問題に真っ向勝負を挑んだ。経産省は審査の結果を示さないという異例な事態に陥ることとなり、経産省をノックダウンさせた国廣弁護士が勝利した。
株主総会の結果では、今井氏の賛成率は43.43%、反対率は54.77%。竹内氏は41.95%、杉山氏は37.68%の賛成を集めた。
(つづく)
【森村 和男】
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