2024年12月22日( 日 )

福岡のまちに冬の風物詩を~クリスマスマーケット開催への思い

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(株)サエキジャパン 代表取締役 佐伯 岳大 氏

 2013年からスタートし、昨年は20日間で約30万人を集客した福岡の冬の風物詩「クリスマスマーケット」。その企画・運営など、ヒト・コト・モノ・マチ・シゴトを軸にした事業を展開する(株)サエキジャパンの代表取締役・佐伯岳大氏に、コロナ禍におけるイベント開催についてインタビューした。

万全の準備と対策で基本は「開催」の方向へ

 ――昨年までに博多で7回、天神で5回のクリスマスマーケットが開催されました。

(株)サエキジャパン 代表取締役
佐伯 岳大 氏

 佐伯岳大氏(以下、佐伯) 一昨年からは天神・大丸があるエルガーラ・パサージュ広場、昨年からは天神3つ目の会場としてイムズスクエアも加わり、まちを回遊しながらクリスマスマーケットを楽しめるようになりました。また、昨年は新たに博多会場で100名ほどの作家が参加した「アートフェア」を実施しました。毎年少しずつ広がり、進化してきて現在に至ります。

 ――今年の開催予定は。

 佐伯 刻一刻と状況が変わるので、様子を見ながら判断することになりますが、基本的には開催する方向で準備を進めています。秋ごろには感染の第2波が来るとも言われているので、可能な限りの感染予防対策を講じたうえでの開催になることは間違いありません。これまでは飲食やライブステージがメインでしたが、従来どおりにはいかないでしょう。そうしたなかでも、まちの希望となり、光となれるよう少しでも例年に近い形式でたくさんの方に楽しんでいただけるよう、開催方法を模索中です。状況に応じて柔軟に、かつ安全・安心を第一に。最終的には、遅くても10月ごろには関係各社と協議のうえ判断を下すことになると思います。

「集う喜び」と「思い」を伝える

 ―最近はオンラインライブやテイクアウトグルメの企画が増えています。

 佐伯 新しいイベントの形態ですよね。クリスマスマーケットでも、オンラインを使った企画を一部検討しています。たとえば、インターネットを使えば世界中の都市のクリスマスの様子をライブでつなぐこともできるわけですから。ただ、このコロナ禍において「人が集うこと」の価値が再認識されています。私自身もオンラインよりもリアルに「集まること」を大切にしたい。なので、今年のクリスマスマーケットでは「集う喜び」をサブテーマにしようと考えています。

 ―「人が集う」というイベント本来の魅力を、コロナ禍にどう伝えるべきでしょうか。

 佐伯 「集う喜び」をみんなで噛みしめながら乾杯できる、参加型の企画を構想しています。また、本質的な面では、イベントを始めた理由や継続する意義などをきちんと伝えることが、今だからこそ大切だと考えています。私たちは、単に福岡でイベントを開催したいわけではありません。みんなの心に残る、福岡の冬の風物詩をつくりたいんです。どんたくがあり、山笠があり、秋が過ぎればヒュッテ(クリスマスマーケットで設置される木の小屋)が建ち並ぶ。それは季節であり、文化であり、まちをつくることだと思っています。

 ―九州屈指の大規模なイベントになりました。これまで継続できた理由についてどうお考えですか。

 佐伯 何よりも「開催したい」という損得を越えた強い思いがあったからです。私たちがクリスマスマーケットを開催し続けているのは、イベントを通してたくさんの人に幸せを届けたいからです。幸せのかたちはたくさんあると思いますが、どんなかたちでも構いません。主役は足を運んでくださるお客さまです。音楽でも食でもイルミネーションでも、それぞれの楽しみ方で素敵な時間を過ごしてもらえたらと思っています。お客さまの笑顔があるから「もっと頑張ろう」と思えるし、それでまた皆さんに喜んでいただけるのなら、とても良い相互効果ですよね。

 ―そうした思いを今後どのように発信していくのでしょうか。

 佐伯 クリスマスマーケットでは、毎年数量限定でマグカップを販売しています。お気づきの方は少ないかもしれませんが、イベントを通して伝えたいメッセージを花言葉から探して、その花をモチーフに毎年違うデザインに仕上げています。2年目のマグカップには「続きますように」という思いで「美しい未来」を花言葉にもつカンナ、3年目は「根づきますように」という思いを込めて、地面に立派な根を張りめぐらすブドウをモチーフに選びました。

 ―今年はどんな花を選ばれますか。

 佐伯 まさに今、今年のマグカップのデザインを協議しているところです。「集う喜び」という花言葉をもつマトリカリア(ナツシロギク)がモチーフ候補にあがっていて、これからデザイン案を絞って詰めていく段階です。

 ―これからのビジョンについておきかせください。

 佐伯 天神と博多という起点をベースに、まち全体にいくつものヒュッテが点在して「歩いてめぐれるクリスマスマーケット」「歩いて楽しいまち」をつくりたいですね。クリスマスマーケットが福岡の冬の風物詩として、100年、200年、300年と続くイベントになるよう、毎年進化を続けながらたくさんの方に幸せを届けたいと思います。

 ―イベント企画や運営を主な事業とするなか、コロナ禍での事業への影響は。

 佐伯 春や夏に開催するイベントもあったので、かなりのダメージです。ただ、落ち込んでばかりはいられません。新しい道を考える時でしょう。現在は、これまでの事業で培った実績やノウハウを生かして、世界中の雑貨を集めた通販サイト「世界を旅して出会った雑貨やさん」の開設準備を進めているところです。ヨーロッパの食器やキャンドルホルダー、ワイングラスなどの手頃な雑貨から取り扱いを始め、将来的には家具も販売したいと考えています。

【チカラ・安永 真由】

<COMPANY INFORMATION>
所在地:福岡市博多区博多駅東1-10-35 CLUB博多駅東オフィスビル4F401
設 立:2007年8月
資本金:300万円
TEL:092-402-1556
URL:http://saekijapan.jp

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