武田薬品がアリナミンなど大衆薬を米ファンドに売却
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武田薬品工業は8月24日、日本初のビタミンB1製剤である「アリナミン」や風邪薬「ベンザブロック」などを製造する連結子会社の武田コンシューマーヘルスケア(株)の全株式を、米投資ファンドのブラックストーン・グループに売却すると発表。売却額は約2,420億円。売却で得た資金は、海外企業の買収で膨らんだ負債の圧縮を図ることにしている。
武田薬品工業は、大和国広瀬郡薬井(現・奈良県北葛城郡河合町薬井)から「大坂・道修町」に出てきた長兵衛が薬種仲買商の「近江屋喜助」の下で奉公した後、のれん分けによって独立。薬種商「近江屋」を開いたのが創始で、1781年から現在に至るまで本社を大阪市中央区道修町に構えている老舗の製薬会社である。
~近年の歴代社長の任期~
・7代; 創業一族の武田國男社長(1993~2003年)
・8代: 長谷川閑史社長(03~14年)
・9代: クリストフ・ウェバー社長(14年~)【表1】を見ていただきたい。武田薬品工業の業績推移表である。
~この表から見えるもの~
◆武田薬品工業は創業家出身の武田國男社長が在任中の1999年、米国で2型糖尿病治療剤「アクトス」(一般名ピオグリタゾン)を発売。その後、「アクトス」の発がんリスクをめぐる製造物責任訴訟が発生。長谷川閑史社長はその責任を取り2014年6月に社長を辞任(長谷川氏は筆者の親友)。
◆後任のクリストフ・ウェバー社長は2015年4月29日、すべての原告団と和解に向けて合意したと発表。和解金は24億ドル(約2,880億円/120円)にのぼり、関連費用の引当金として27億ドル(約3,241億円/120円)を2015年3月期決算に計上。そのため、1949年の上場以来、初めての赤字に転落している。
◆武田薬品工業は2019年1月8日、アイルランドの製薬大手シャイアーの買収を完了したと発表。買収総額は日本企業として過去最高額の460億ポンド(約6兆2,000億円/125円)。子どものころ『タケダ、タケダ、タケダ』の「アリナミン」や「ベンザブロック」に世話になった。今回の発表を聞いて、「明治は遠くになりにけり」の郷愁を抱くのは、はたして、私だけなのだろうか。
【(株)データ・マックス顧問 浜崎裕治】
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