【IR福岡誘致特別連載8】福岡IR進捗は渡航禁止令の今後の緩和次第
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先日、新たに発足した菅政権は、来月より順次、全世界からの入国制限(観光客除く)を緩和すると発表した。冬場に向けて新型コロナウィルス感染再拡大が世界的に懸念される状況であるが、この制限緩和は航空業界にとってはもちろん、貿易立国の日本経済再生にとって大変重要な事項である。
なぜなら、グローバルなビジネスの世界では、菅政権の目玉政策「デジタル庁の設置」に代表されるインターネット網の拡充だけでは不十分であり、人と人との直接的な交流、人が直接関わるアナログな課題の解決も必要不可欠であるからだ(インターネット網の拡充は日本にとって速やかに実行すべき課題であることは確かだ)。
この海外からの渡航禁止令の緩和が福岡IRの今後の進展においても必要不可欠だ。大阪IRが代表例であるが、インターネット上では解決できず人の手を必要とする作業が多種多様にたくさんあるためだ。人が行うビジネスすべてをリモート、デジタルのみで行うことはできないのが現実である。それゆえに、いずれの候補地にとっても入国制限の緩和は必須となる。
IRに関してその主たるものを具体的に説明すると、とくにRFP(Request For Proporsal)と呼ばれる、正式なIRの事業計画書等の速やかな作成が求められている。大阪IRを例に挙げると、米国MGMとの間でRFPの作成への着手が全然できておらず、横浜、和歌山、長崎の各IRは、このRFPの公募の予定さえもスケジュールが立てられずにいるのが現状である。コロナ禍による渡航禁止のため、すべての候補地で一切進んでいないのである。政府のIR基本方針の発表も遅れている。
福岡IRに関して言えば、既報の通りほかの候補地とは別物であり、それは候補地周辺の自治団体を中心とした民間人組織が事前の準備作業を行ってきたという民間先行によるものであり、行政による先導ではないということだ。それゆえ、福岡市行政も市議会もIR誘致・開発要請の上申書を受け取ってはいるものの、正式な立候補はいまだ実行していない。
しかしながら、この福岡IRは、本件関係者からの聴取によると、コロナ禍以前に米国IR関係者2社による現地視察と、基本的な計画の基礎となる米国調査機関による計画書等の作成はすでに完了しており、先述の福岡市行政と市議会、各関係機関への上申書はその結果を踏まえたものである。
このことは、大阪IRのMGM(公募ずみ)を除いたほかの候補地が今後実施しようとしているRFPの公募予定を、民間組織が福岡市行政に代わりに事前に実行したも同然である。関係者によると、前回の上申書提出の報道後、海外からのコンタクトが新たに増えて、現在、海外IR投資企業は、合計4社となったという。
新たにコンタクトしてきた2社は、入国制限により福岡に来ることができないため、いまなお現地視察や本件IRの当事者たちとの直接の会談などは行われていない。双方ともに、直接のFace to Face、何事も自身の眼で観ること、すなわち「百聞は一見にしかず」というビジネスの基本を実行できていないのである。
関係者は、今後より多くの海外投資企業が本件IRに参加し、そのなかから選抜するのがより好ましいとしている。菅政権により速やかな「渡航規制緩和」が実行されれば、福岡IRの計画は格段に進捗するであろう。関係者はその当該地「海の中道海浜公園」周辺の景観の美しさ、福岡都市圏のインフラ整備の充実度などの優位性を認識しており、本件に必要なすべての条件を早い時期に整えられるという強い自信をもっている。
IR関連法案において準備作業者(行政と民間の協力含む)に対する規制はなく、あくまで国に申請できるのは当該地管轄の行政機関と規定しているのみだ。従って、最終的に前述の「すべての条件」が整えば、福岡市行政がこの福岡IRの申請者になるということだ。
横浜、和歌山、長崎の各IRの行政先行方式と、他に類を見ない福岡IRの民間先行方式のどちらが本格的、具体的な進捗をみせるのか、今後の展開が本当に楽しみである。どのように展開するにせよ、この渡航禁止令の緩和が必要となる。
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