国内最大級宅配サイト「出前館」の創業者が相場操縦に走った裏事情(前)
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新興企業には、ユニークなネット企業が少なくない。JASDAQ(ジャスダック)に上場している夢の街創造委員会(株)(大阪市中央区)は、その1社。同社は、ネットで出前を受け付ける「出前館」を運営する日本最大級の宅配サイトだ。
その同社の株価が、急落した。2月29日、一時前週末比294円(21.3%)安の1,089円まで下げた。「創業者が株価操縦の疑い」と伝わったからだ。監視委が強制調査
産経新聞(2月29日付朝刊)は1面に、「宅配サイト『出前館』創業者 相場操縦疑い強制調査 監視委」の見出しの記事を載せた。
〈ジャスダック上場で日本最大級の宅配サイト「出前館」を運営する「夢の街創造委員会」(大阪市中央区)の株価を意図的につり上げたり、固定したりした疑いがあるとして、証券取引等監視委員会が金融商品取引法違反(相場操縦)容疑で、同社創業者の男性(46)らの関係先を強制調査していたことが28日、証券市場関係者への取材で分かった。監視委は東京地検特捜部への刑事告発を視野に調査を進めている〉
この報道を受けて夢の街は、創業者は2014年6月に特別顧問を辞任しており、「現在は経営面に関係ない」としたうえで、「監視委の調査に協力していく」と説明している。
インサイダー取引疑惑
創業者の男性とは、花蜜伸行氏。1969年7月、和歌山県海南市生まれ。和歌山県立海南高校を卒業。22歳でバイク便会社を創業した。インターネットビジネスが一斉に開花した99年に、夢の街創造委員会(株)を設立。世界初となる、出前の仲介サイト「出前館」を始めた。
2002年に会長、03年に戦略顧問に就任。起業家精神旺盛で、06年に異業種交流サイトを運営する(株)日本元気丸(現・(株)日本応援丸)を立ち上げた。08年には社会貢献活動を行う一般社団法人日本元気丸を設立して、代表理事に就任した。13年3月に、夢の街創造委員会の特別顧問に復帰。このとき、事件が起きる。
花蜜氏は13年4月に夢の街の重要情報を知人に伝達し、その情報に基づいて知人の会社役員が、インサイダー取引をした疑いが浮上。14年6月に「業務遂行に支障がある」と自ら申し出て、特別顧問を辞任した。知人の会社役員は14年11月、インサイダー取引をしたとして、金融庁から256万円の課徴金の納付命令を受けた。第三者委が認定したインサイダー取引
夢の街は、インサイダー取引を調査するため、3人の弁護士で構成される第三者委員会(委員長・小西智志弁護士)を設置。14年12月、調査結果を公表した。報告書に「顧問B」と記載されているのが花蜜氏だ。インサイダー取引のくだりを要約する。
〈13年4月、夢の街は通販会社の薩摩恵比寿堂を買収して子会社化することを決定した。当時、夢の街の大株主は、薩摩恵比寿堂を子会社化することに反対し、子会社化する場合は、夢の街の株式を売却する意向を示した。花密氏は、大株主が売却することになる株式の買い手を求めて、知人の会社役員に接触。薩摩恵比寿堂の子会社化は、金商法に規定された重要事実であることを知りながら、夢の街株式の取得を勧誘した〉と認定した。
(つづく)
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