国内最大級宅配サイト「出前館」の創業者が相場操縦に走った裏事情(後)
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発端は筆頭株主CCCの撤退
夢の街創造委員会(株)(大阪市中央区)の大株主は、頻繁に交代した。2009年3月に筆頭株主のヤフーから株式を取得して筆頭株主になったのが、CCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ(株))。ソフトレンタル、書店「TSUTAYA」を展開するCCCは、12年2月時点では29.9%を保有する筆頭株主だった。だが、その後15年2月には、CCCの名は大株主から消えている。
筆頭株主が手を引くことになり、その受け皿探しに、花密氏が奔走していたわけだ。第三者委員会の報告書では、花蜜氏が「何らかの経済的利益を受けたかは不明」としているが、このとき、しっかり稼いでいたようだ。
先の産経新聞の報道によれば、花蜜氏は
〈証券会社の関係者と共謀し、取引時間の終了間際に直近より高値で取引を成立させる手口などで株価を高値で固定した疑いがもたれている〉という。
監視委はこれに目をつけた。15年2月、花蜜氏が高値で売り抜け、利益を得る目的で、株価をつり上げたとして、強制調査に乗り出した。発端は、CCCの撤退だった。29.9%の株式が売却されれば、株価が暴落するのは必至。花蜜氏は、株価を支えるためになりふり構わなかった様が伝わってくる。だが、相場操縦は御法度。アウトである。
新オーナーになった中村社長
夢の街を、国内最大の宅配サイトに育てた最大の功労者は、社長の中村利江氏(51)。女性起業家として有名だ。富山県高岡市出身。関西大学文学部在学中、学生起業家として女子大生を組織し、モーニングコール事業を立ち上げた。その活動が、当時の朝日新聞の「天声人語」で紹介された。中村氏を取り上げた記事に、必ず出てくるエピソードだ。
卒業後、(株)リクルートに入社。(株)ハークスレイ(ほっかほっか亭総本部)を経て、01年7月にプランニング会社、(有)キトプランニングを設立。花蜜氏からヘッドハンティングされて、02年7月、夢の街の社長に就任した。04年に宅配サイト「出前館」をスタート、06年大証ヘラクレス(現JASDAQ)に上場を果たす。資金パトロンに、(株)インデックス、ヤフー(株)、CCCと大株主を次々と引っ張ってきたのは、中村氏の人脈だ。夢の街の主要事業である宅配サイト「出前館」は、有価証券報告書(15年8月期)によると、加盟店1万2,213店、会員登録者数714万人、オーダーは1,055万件にのぼる国内最大の宅配サイト。サイトを訪れるユーザーは、ピザ・すし・カレー・弁当・中華・ファーストフードなど多数のジャンルから注文して、加盟店から出前サービスを受ける。
夢の街は、加盟店からの運営費と手数料が収入源。15年8月期の連結決算は、売上高が前期比3%増の36億6,100万円、純利益は42%減の9,600万円だった。一連のインサイダー取引騒動を経て、漁夫の利を得たのが中村氏だ。15年8月末時点で、中村氏が発行済み株式の13.50%を保有する筆頭株主。中村氏が経営する(有)キドプランニングは、11.89%を保有する第3位の株主だ。CCCが手放した株式の大半を手に入れたことを意味している。
中村利江氏は、夢の街創造委員会の新しいオーナー社長になったのである。
(了)
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