政府の温暖化ガス「2050年までに実質ゼロ」宣言~環境のためという原発推進に大きな疑問
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政府は、地球温暖化対策として、2050年までに温暖化ガスについて全体としてゼロを目標とすることを発表。菅義偉首相が26日の所信表明演説において宣言した。
温室効果ガスとして、もっとも大きな影響をおよぼしているのがCO2。CO2排出源の主なものは発電部門、産業部門、運輸部門であり、CO2排出削減に向けて、これらの分野での再生可能エネルギー利用拡大、省エネ化に向けた大胆な政策が欠かせない。
政府はCO2排出削減のため、石炭火力発電政策の見直しとともに次世代型太陽電池やカーボンリサイクルなどの新たな技術の開発研究を推進しており、今後関連の研究開発や事業への助成に力を入れることが見込まれる。加えて、地球温暖化などに力を入れる企業に投資するグリーン投資を促すための規制改革を進めるという。
再エネは発電時の燃料費がほぼ不要であるため、技術の進歩により設備が効率化されることで発電コストはさらに下がる。このことは、電気の発電コストに対する常識を大きく覆す可能性を秘めている。また「もったいない」という言葉があるように、省エネは日本のお家芸であり、今後も省エネ技術の発展が期待されている。
菅首相は同演説において、CO2排出量削減のためとして、「安全性を最優先として原子力政策を進める」と述べている。しかし、いまなお多くの課題が残る福島原発を見ていると、原発の再稼働、増設は「本当に環境のためになるのか」という大きな疑問が残る。
「CO2ゼロ」という環境問題の解決に向けた目標を前面に出し、その陰で原発を進めようという政府の姿勢を見て取れる。実際、菅首相は、太陽光発電などは天候や昼夜で発電量が変わるため、電力を安定供給できるベースロード電源として原発を利用する考えを示している。
しかし、電力の安定供給に関しては、蓄電池や水力発電の活用などほかにも方法があるはずだ。
「CO2ゼロ」実現には、CO2排出量の削減も重要だが、CO2吸収量を増やすことでも全体としてCO2を減らすことはできる。CO2を吸収するのは主に森林と海だ。首相の所信表明演説では触れられていなかったが、「CO2ゼロ」実現のため、国産材の流通を増やすなどして林業を活性化させることも欠かせないのではないだろうか。
【石井 ゆかり】
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