2024年11月21日( 木 )

「コロナ禍」という危機的状況の今 ピンチをチャンスに変えるマインドを

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APAMAN(株)

コロナ禍において求められる人材とは

fabbitサンフランシスコの受付
fabbitサンフランシスコの受付

 APAMAN(株)は1999年10月20日に、「ITを活用して不動産業界の質的向上に貢献したい」との思いから設立された。設立当初は主に不動産事業に関連するウェブやクラウドなどのテクノロジーを提供していたが、その後、業容を拡大していき、現在は「Sharing economy(シェアリングエコノミー)事業」、「Platform(プラットフォーム)事業」、「Cloud technology(クラウドテクノロジー)事業」を展開している。

fabbit サンフランシスコから見える市街地の様子
fabbit サンフランシスコから見える市街地の様子

 大村浩次社長(以下、大村社長)にコロナ禍において同社が求める人材についての質問をしてみたところ、開口一番、「コロナ禍で業績が悪化した企業が多いが、業績を伸ばしている会社もある。我々はどんな状況でも前向きに事業と向き合い『ピンチはチャンス』と捉えている。求める人材も同様のマインドをもった前向きな人が理想だ」という答えが返ってきた。

 アメリカ・サンフランシスコに今年1月23日、同社運営のコワーキングスペース「fabbit」が開設された。スタートアップ企業やベンチャー企業などの支援を目的に運営されているfabbitは現在、国内23カ所、国外22カ所の施設があり、約7,200名の会員を有して、国内拠点と海外拠点との連携および会員間の情報交流を積極的に行っている。

 大村社長は前述の「ピンチをチャンス」に変えるマインドはfabbitを利用する若い創業者にもぜひ持っていてほしいマインドだとしている。「日本とアメリカなど国の違いによる外的要因なども関係するので一概にはいえないが、洋の東西を問わず、成功のためには最低限このマインドをもっている必要があるのではないでしょうか」(大村社長)。

コロナを契機にデジタル化が加速

 サンフランシスコから約50kmの距離にある「IT企業の聖地」米国・シリコンバレーでは、コロナ禍でも業績が上がっている企業が多いという。一例を挙げると、コロナの流行により世界中で急速に導入が進んだ非接触サービスを提供する企業などがそれに当たる。大村社長は「西海岸ではコロナをチャンスだと捉えている企業が多い。移動効率1つとってみてもZOOMなどのコミュニケーションツールを用いることで交通費、経費の削減につながっており、今後は日本でもオンラインコミュニケーションが主流となっていくだろう」と語る。

 IT分野における日米の差が拡大していることに水を向けたところ、「たしかにデジタル分野における米国企業の技術力は非常に高いものがある。世界大学ランキングのトップに、IT分野に強みがあるカリフォルニア工科大学が立っていることが何よりの証拠だ」と大村社長は語る。では、「日本はこのままズルズルと引き離されてしまうばかりなのか?」と尋ねると、トヨタ自動車が静岡県裾野市で進める次世代型近未来都市構想「コネクティッド・シティ」を例に挙げ、「技術力だけでは米国企業に太刀打ちできないかもしれない。しかし、こうしたITを活用したまちづくりのようなトータルパッケージにおいては、日本企業にも十分勝負できる可能性がある」と指摘する。

 以前、同社の研修は会議室に社員を集めて2日がかりで行っていたというが、現在は幹部が行ったレクチャーをアーカイブし、社員全員が各自のPCからアクセスできる仕組みを構築している。こうしたデジタル化の波はコロナを契機に急速に加速化しつつあり、会議に限らず、すべての業務効率化について検討する良い契機になったようだ。

 今後の展望について大村社長は、「Platform(プラットフォーム)事業においてはオンライン接客、オンライン契約をさらに推し進めていきたい」としている。たとえば、物件探し、相談、申し込みまでを「LINE」で行えるという。AIによる物件紹介や、シェアリングキー(専用スマホアプリで開錠可能)の導入拡大などだ。

どんなことがあっても「社員を守り抜く」

賃貸住宅無償提供(同社ホームページより)
賃貸住宅無償提供(同社ホームページより)

 APAMANグループでは現在、新型コロナウイルス感染症の影響にともなう倒産または人員整理によって寮からの退去を余儀なくされた人などを対象に、同社グループの対象物件約200室を2020年12月末まで無償提供している。大村社長は、「コロナに限らず、社会的弱者ともいえる方々の力になりたい。『社会に貢献する』するという姿勢が我が社の『社是』です」と語る。

 コロナ禍において、困った人々を守るのと同様、同社で働く社員の健康・安全を守るという意識が強いのも同社の特徴である。APAMANグループは10年以上前から従業員1人ひとりがそれぞれのライフステージに合った働き方が選択できるように、「週休3~4日制導入」「スペシャル手当の支給」「働きやすい好立地な職場」などの雇用の多様化に取り組んでいる。

 また、大村社長は全社員に向けて「コロナ禍であっても今後も雇用と給料を維持することを約束します」としたメッセージを送ったという。コロナ禍のような状況においては多くの場合、先行きの不安などから社員の会社に対する「満足度」が低下する傾向にあることが多いが、同社においては満足度がコロナ前と比較して高まっているという。危機的状況下においての大村社長、そして同社の社員に対する姿勢が鮮明になったことで、同社に対する社員の帰属意識がこれまで以上に高まったことが、その要因ではないだろうか。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:大村 浩次
所在地:東京都千代田区大手町2-6-1朝日生命大手町ビル3F
設 立:1999年10月
資本金:79億8,356万円
TEL:03-3231-8020
URL:https://apamanshop-hd.co.jp


大村 浩次 氏<プロフィール>
大村 浩次(おおむら こうじ)

APAMAN(株)代表取締役社長。1999年に“ITを活用して不動産業界の質的向上に貢献したい”という思いからAPAMANを設立。その後、ITノウハウを活用し、コワーキングスペースを提供するfabbit(株)の創設やその他のシェアリングエコノミーなど多種多様に事業を展開。現在、国内だけでなくアメリカをはじめとした海外事業への展開も加速させている。

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