【久留米市】最新のバイオ技術に対応するインキュベート施設が誕生
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最新のゲノム(遺伝情報)編集用ロボットなどを導入する賃貸式インキュベート施設「福岡バイオイノベーションセンター」が来年4月、久留米市百年公園内の久留米リサーチセンタービル東隣りにオープンする。
福岡県や久留米市などが出資した第三セクター「久留米リサーチ・パーク」が5月に着工。10月14日から、バイオ関連の入居企業を募集中だ。すでに6社から引き合いがあり、3社の入居が内定、上々の滑り出しという。
同社に事務局を置く福岡県バイオ産業拠点推進会議は「福岡バイオバレープロジェクト」を推進。久留米市や周辺地域にバイオ産業を集積させるため、バイオ関連の研究機関やベンチャー企業などを積極的に誘致している。
その支援施設として、2004年に「福岡バイオインキュベーションセンター」を久留米リサーチセンタービル北側、07年には「福岡バイオファクトリー」を福岡県工業技術センター生物食品研究所南側に建設した。いずれも賃貸式。後発の福岡バイオファクトリーも来年中に埋まる見通しが立ち、3施設目の建設に踏み切った。
福岡バイオイノベーションセンターは5階建て。1階と2階は試作品製造に使えるファクトリー(貸工場)。細胞を扱うクリーンルームを考えて天井の高さを3.5mにした。部屋数は合計4室(最大113.21m2-最小97.0m2)。1階に商談や打ち合わせに使えるコ・ワーキングスペースを確保する。
4階と5階はインキュベート室。全8室で、広さは2部屋が80m2程度、6部屋が50m2程度。全室が微生物の拡散を防ぐバイオセーフティレベル2で、実験室には安全キャビネット、オートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)を設置している。
3階は入居企業が共用するオープンラボ。最先端のバイオ技術に対応する機器を導入する。微生物や植物の細胞の物質生産能力をゲノム編集などによって引き出し、既存技術では生産が難しい有用な物質の創製を目指す。
施設には自動分注装置や DNA抽出解析装置 、化学物質のエコ調査などで使われるガスクロマトグラフ質量分析計 、PCR(ポリメラーゼ連鎖反応)によるDNAの複製過程をリアルタイムに測定する装置といった主なバイオ関連の研究機器をそろえる。さらに同社が「遺伝子組換え実験等安全委員会」を設置することも特長だ。「自社で安全委員会を設置していない入居企業にとっては、これは大きなメリットになると考えています」(同社担当者)。
レンタル料は、新規の場合は入居後3年間の割引適用で1m2あたり月額2,255円(共益費込み、税込み)。バイオ関連企業と認定された新規入居企業は、久留米市が1年間に限ってレンタル料を補助。割引と補助を用いると50m2程度の部屋なら、最初の1年間のレンタル料は年約60万円(駐車場代は別途)。入居期間は原則5年間で、延長も可能。
既存の支援施設には、実績を重ねた入居企業も。たとえば、DNAやRNAといった遺伝情報を司る「核酸」を医薬品に応用する核酸医薬の草分け的存在の(株)ボナックは、本社を福岡バイオファクトリーに置く。ヒト胎盤(プラセンタ)由来の医薬品などを製造する(株)日本生物製剤(東京都渋谷区)は、研究所と技術開発センターを久留米リサーチセンタービルに開設している。
【南里 秀之】
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