ストラテジーブレティン(267 号)2021 年コロナ制圧、世界同時好況が視野に、怒濤の日本株高も(2)
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NetIB‐Newsでは、(株)武者リサーチの「ストラテジーブレティン」を掲載している。
今回は2020年12月3日付の記事を紹介。(2)2000年以降の3大相場の5条件
先行する2大相場、小泉郵政解散相場、アベノミクス相場を分析すると、5つの共通要因があり、現在はこの5条件が満たされつつあることがわかる。第1の条件は、先立つ数年間の株価は低迷状態にあった、つまり上昇のバネが蓄えられていたということである。今回も18年以降、日経平均は2万4,000円を頭に、数度の急落が繰り返される停滞、波乱相場が続いた。11月の2万4,000円台突破で、ようやくこのレンジを突き破ったのである。11月の1カ月間で+3,350円(前月比)という急騰は過熱感をうかがわせるが、比率でみると+14.5%(同)であり、先行する2大相場と比較すると、入り口としては、過大なものではない。押し目がなく、買いたい弱気筋に買い場が来ない可能性を示唆する。
外国人の日本株買いの条件整う
第2の条件は、外国人買いの急増である。2000年以降の株価急騰は、いずれも外国人が主導した。外国人持ち株比率は、小泉郵政解散時では04年末23.3%から06年末27.8%へ、アベノミクス時は12年末28.0%から14年末31.7%に急伸した。今回は、外国人がアベノミクス時に取得した累計23兆円をすべて売却し、19年末の外国人持ち株比率は29.6%まで低下し、日本株式をアンダーウェイトにしきった状態であった。11月には、慌てて買い増し始めた状況である。
コロナ沈静後、世界的経済ブームの可能性
大相場の第3のもっとも重要な条件は、世界同時好況である。コロナワクチンが実用化されれば、後述の(1)イノベーションの加速、(2)空前の財政金融支援、(3)ペントアップ・デマンドと潤沢な貯蓄の3つが相乗的に作用し、経済大ブームが到来するだろう。
銅、鉄鉱石、海運などの市況が数年ぶりの高値にあること、米国株式では景気敏感なバリュー株がアウトパフォームを始めたこと、景気感応度の高い新興国市場投資が急増していること、バイデン新大統領の下で米中対決がルールベースになり、不透明感が消えていくと予想されること、日本の対米・対中輸出が大きく増加に転じていることなど、景気回復が早まっていく兆しが表れている。
武者リサーチは、コロナパンデミックが障害物を押し流し歴史の歯車を加速し、コロナ後の世界経済の成長率は高まると主張してきたが、その可能性が表れつつあるといえよう。IMFは世界経済見通しを20年の世界の成長率を前年比-4.4%、21年を同+5.2%と、21年になってもコロナ前に戻らないとしている。しかし、ワクチンが急速に普及し、コロナ鎮圧に成功すれば、むしろ21年後半、遅くても22年までには、かつてない速いペースの世界景気回復が見られるかもしれない。
第4の条件は人気要素、とくに外国人が好む改革アジェンダの推進である。菅首相が歴代首相のなかでもっとも改革に熱心であることは広く知られており、結果を出せば外国人は素直に評価するだろう。W.バフェット氏の日本5大商社株式投資は、日本ブームの着火剤になるかもしれない。
コロナ後は米金融引き締め、ドル高へ
第5の条件は、円安進行である。これがもっとも困難で重要かもしれないが、その可能性も十分考えられよう。コロナ鎮圧、バイデン財政出動となれば、米国FRBの超金融政策の転換が見えてくる。
(つづく)
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