2024年11月23日( 土 )

フリーユニットバスメーカーとして日々挑戦し、進化し続ける

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(株)小笠原

200年企業として輝き続ける

 (株)小笠原の源流は、現在の佐賀県鹿島市で江戸後期1822(文政5)年に飴おこし・お菓子製造販売を興した小笠原商店まで遡ることができる。小笠原商店の流れを汲む同社は、2022年に創業200年を迎える。

 200年に渡り、事業者として地域社会に貢献し続けてきたのには、確固たる理由がある。小笠原正行社長は、「200年前に創業した飴屋長左衛門が提唱した『ありがとうございます、おかげさまで』を今日も受け継ぎ、我が社一同で体現することに尽きます。いつの時代、そしてどんな時流・時勢でもお客さまやお取引先に支えていただいていることに感謝し、『ありがとうございます、おかげさまで』を心に刻みながら事業を進めていることです。もう1つは、お客さまの声を大切にし、創意工夫しながら事業をつくり上げてきました」と語る。

 創業当時、飴おこし・お菓子を製造販売するなか、「通年2・8月は売上が落ち込む。何か対策を講じて業績を安定させよう」と考案した原材料の1つに天草(てんぐさ)があった。天草を使ってところ天をこしらえ、2・8月に販売したところ、顧客が次々に買い求めたという。

 終戦後に戦地から戻った小笠原社長の父・小笠原平吾氏は、同商店を手伝うなかで、顧客の左官業の1人から、「左官材料を扱ってもらいたい」と打診を受けた。平吾氏は早速着手し、天草と「ふのり」などを混ぜ合わせることで左官材料を製造し提供した。平吾氏の左官材料は瞬く間に大繁盛し、高い評判を得たという。

フリーユニットバス(機械浴室タイプ)
フリーユニットバス(機械浴室タイプ)

 1946年7月には、先の平吾氏がセメント・左官材料販売の建材店を創業。「父・平吾は創業時、左官屋など建設関係のお客さまからの要望で、セメント販売へ進出しました。父は、セメント仕入れのために自ら小倉港まで、毎日バイクで往復していたのです。そして小倉で仕入れたセメントを、当時本社の佐賀県鹿島市に程近い白石町の港へ着けました。お客さまに大変喜んでいただき、さらにお客さまから新たな注文をいただきながら、事業を拡大しました」(小笠原社長)。

 前会長・平吾氏が同社の礎を築き、現会長・重松繁利氏、現社長・正行氏が平吾氏の志を継承し、建材および住宅機器販売を展開しながら、フリーユニットバスメーカーとして成長した。すべて文政期から「ありがとうと創意工夫」の伝統が脈々と受け継がれて、今日のフリーユニットバスメーカーにまでつながるのだ。

MADE in Ogasawaraの誕生

フリーユニットバス(ホテルタイプ)
フリーユニットバス(ホテルタイプ)

 同社は長年、浴室をはじめとした住宅の水回りを中心に、住空間における施工実績を重ねている。施工実績を積み上げるなか、「規格品ではないユニットバスができないのか」という顧客からの声や問い合わせが同社へ寄せられるようになった。通常なら、「ユニットバスは、メーカーが規格して製造する。オーダーメイドは無理」という固定観念があるため着手することはない。しかし同社は固定観念にとらわれることなく、「やってみよう」という信念のもと約10年の歳月を費やして、「フリーユニットバス」というフルオーダーのユニットバス事業へ進出することとなった。

 「それぞれのお客さまのバスへの要望を細かい部分まで実現するために、自由に設計できるフリーユニットバスを開発しました。寸法、材質、機能性、デザイン、そのいずれをも満足させることを目指したので、構想から開発まで10年の歳月を要したのです」(小笠原正行社長)。こうして、「MADE in Ogasawaraのフルオーダー・フリーユニットバス」が誕生したのだ。同社のフルーオーダー・フリーユニットバスは2016年9月に、47都道府県すべてで導入が実現した。

フリーユニットバス(高級タイプ)
フリーユニットバス(高級タイプ)

 事業を開始した当初は、介護・福祉施設や医療関係からの問い合わせと受注が舞い込んできた。浴室を利用する人々が安心・安全であることと同時に、一番良い条件で使えるためのきめ細かな創意工夫を実施する。つまりパーツ1点に至るまで、各所のリクエストに応え、完全なフルオーダーを実現させることにより、顧客からの高く・厚い信頼を積みかさねるのだ。

 近年は、ホテル業界においても受注が増え続けており、新設およびリニューアルともに増加傾向にある。新型コロナウイルスの感染拡大でホテル需要は一時期低迷した。コロナ禍の収束時期が不透明ななか、「東京および大阪など大都市圏では、再開発事業が復活すると予想しています。次の営業展開への準備を着々と進めています」と小笠原社長は話す。

 同社は現在、図面や導入事例を自社ホームページおよびYouTube・メールマガジンで積極的に発信している。加えて年に2〜3回東京で開催される各種展示会に出展し、顧客の声に耳を傾けるなど、製品力のアップデートにもぬかりはない。現在フリーユニットバス事業は売上高の約40%を占めている。

チャレンジ精神を持ち続ける

 同社はフリーユニットバスメーカーとともに、建材・住宅設備機器業界最大手の(株)LIXILグループの営業推進のパートナー企業に名を連ね、九州地区のリーダーの重責を担っている。

 今後の事業構築については、建材・住宅設備機器施工販売を継続しながら、フリーユニットバスメーカーとして、「小笠原ブランド」をより盤石にする。「小笠原ブランド」を200年、さらに未来永劫にわたり、先人が築き上げた実績と志で継承していくのだ。

 「独自性の高いメーカーとして、いつも挑戦する姿勢を持ち続けます。フリーユニットバスメーカーとして、『小笠原ブランド』を自らの手で進化させ、チャレンジ精神溢れる若手の方々と一緒に仕事をつくっていきたい」(小笠原社長)と、同社の次世代をリードする人材採用も強化している。

 「小笠原ブランド」が、国内業界をリードする製品・サービスとなる日は近い。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:小笠原 正行
所在地:福岡市博多区博多駅南6-12-25
設 立:1981年7月
資本金:2,000万円
TEL:092-431-2751
URL:https://catalog-ogasawara.com


小笠原 正行 氏<プロフィール>
小笠原 正行
(おがさわら まさゆき)
1955年、佐賀県鹿島市生まれ。東京理科大学卒業後、81年に(株)小笠原に入社する。取締役を経て、2007年に代表取締役社長に就任。

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