2024年12月22日( 日 )

公共工事で培った技術力で 次世代の循環型社会づくりに貢献する

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(株)環境施設

自治体や大手からも多大な信頼 公共工事を得意とする技術企業

 1987年の創業以来、公共工事に軸足を置いてきた(株)環境施設。元請としてはもちろん、大手ゼネコンなどからの発注も非常に多く、福岡県や県内市町村、国土交通省などさまざまな公共工事で同社の技術力が生かされている。

 同社の事業の主軸は、地域のインフラとして重要な道路(国道、県道、市町村道)や橋梁、トンネルなどの一般土木工事、都市部のライフラインを整備するシールド工事、地盤改良・土地改良工事など。さらに、上下水道など管更生工事、ビル建築といった「建設事業」、およびこれらから発展・派生した事業などがある。

 ほかにも、たとえば道路工事では道路をつくるだけではなく、安心安全に走行できるように道路の清掃や除雪・結氷対策など道路保全を目的とした「道路メンテナンス事業」も行う。環境保全事業としては、地中に埋められた給排水管の現状調査、清掃、補修・補強なども。これら技術ノウハウを駆使した「建設コンサルタント」として、主軸である建築工事周辺の各種工事においても実績を築いていることも同社の特色である。

 なかでも、公共物の補修・補強・保全といったメンテナンスは、経年劣化が不安視される公共工事において、近年、期待されている。また泥水・泥土などの資源の再利用化も注目を集めており、これらの分野で多くの技術ノウハウをもち、プラント施設を自社所有している同社には、国や自治体、ゼネコンからの期待が従来にも増して高まっている。

 さらに注目したいのが、「リサイクル事業」である。土木工事では地中を掘った際に泥土や泥水、建設発生土といったものがどうしても発生する。同社では、それら発生物を利用可能な再生資源として蘇らせるリサイクルプラントシステムを構築しているのだ。たとえば、建設発生土が流動化処理土製造プラントで蘇り、地下鉄や下水道、ガス管などの工事で生かされる。他にも洗砂プラント、建設発生土・土質改良プラント、生コンプラント、脱水処理プラントと多彩な用途に対応できるプラントを自社所有していることも強みである。

自社所有のプラント
自社所有のプラント

インフラ整備で培った技術で地域の発展・復興の一翼を担う

 創業以来30年以上、土木建設工事に邁進してきた同社では、工事技術の急速な進歩に対応してきた。その結果、たとえば、管推進工事においては古い管のなかに新しい管をはめ込んで補強していくツーウェイ推進工法やエスエスモール工法、ユニコーン工法など現場の条件に応じた高度な特殊工法も自社で対応できるようになった。これらの工法のなかには、同社が特許を有するものもある。

 そんな多くの高度技術は、一般工事の現場はもちろん、復旧工事にも生かされてきた。記憶に新しい2016年11月、九州の玄関口JR博多駅のすぐ近くで起きた地下鉄建設工事における道路陥没事故。同社は共同企業体の一員として加わり、早期の復旧に貢献した。

シールド工事
シールド工事

 11年3月には、未曽有の被害をもたらした東日本大震災でも同社の技術力が生かされた。実は同社では大震災が起こる前年、すでに仙台市営地下鉄建設工事のJVに参画し、東北での事業の一歩を歩み出していたのだが、その矢先に大震災が起きた。そこで福岡で培った各種技術を東北復興に役立てられないかと仙台市での事業を本格的に開始。大震災の翌12年には東北支店を置き、さまざまな復旧工事にあたってきた。その実績を買われ、現在まで仙台市地下鉄の建築工事、下水道管の推進工事など東北での実績も築き上げている。

 ほかにも、福岡県の二級河川で浸水被害を発生させた高尾川の地下河川シールド工事(JV)などにも関わってきた。

土木建設技術の追求と地域密着 ホールディングス化で次世代へ

 先述の通り、同社は創業以来、公共工事の土木建築工事を主軸に、その周辺の事業にこだわってきた(民間工事もまったくのゼロではない)。もっとも、グループ内には土木建築以外の事業を手がける企業もある。ビルの新築工事、さらに関連企業である不動産業・ビルマンション管理業を行うライフクエイリション(株)では、旧知の企業から依頼された案件がほとんどだという。警備業の環境筑紫(株)では工事現場の人材派遣を行う。

 本支店の事業ネットワークにおいても、福岡県内および周辺の佐賀、熊本に支店や営業所を置いているのみ。各自治体の公共工事を受注するための組織体制となっているのだが、これを九州域外にまで拡大する予定はないという(唯一、先述した東北支店での事業は推進していく)。あくまでも福岡を中心に北部九州での地域密着型の事業展開をポリシーとしている。

 一方で、福岡市博多区立花寺で新しいプラント建設を進めており、技術企業としての設備環境を強化している。公共工事主体の事業体系と地域密着志向が功を奏し、リーマン・ショックの荒波の影響もあまり受けず、またコロナ時代にあっても安定的な業績で推移している。

 しかし同社も30年以上の歴史を刻んだこともあり、創業者である田中直継社長は次の時代をすでに見据えている。まずは組織力のアップデートを目指して持株会社を新設、その下に現在の環境施設や関連会社各社を組み込む新しい組織づくりを進めている。ホールディングスのトップには現在の田中社長が就き、環境施設には成長著しい後継者に道を譲る予定だという。

 技術を蓄積し、常に地域の要望に応えてきた同社の今後に期待していきたい。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:田中 直継
所在地:福岡市西区小戸3-50-20(本社)
    福岡県筑紫野市山家2060-7(本店)
設 立:1987年10月
資本金:4,000万円
TEL:092-894-6168(本社)
    092-926-6168(本店)
URL:http://www.k-shisetsu.co.jp


<プロフィール>
田中 直継
(たなか なおつぐ)
1955年11月、福岡市早良区生まれ。30歳で田中設備を創業。その後、事業を拡大し、87年、(株)環境施設へ組織変更し、代表取締役に就任。

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