2024年12月22日( 日 )

マンション供給数17年連続福岡No.1 エンクレストの実績と挑戦

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(株)えんホールディングス

年500戸の供給ペースで管理戸数は1万戸目前に

 2019年、福岡県内で供給された分譲マンションをもっとも多く販売したのが、「エンクレスト」を販売する(株)えんホールディングス(以下、えんHD)グループだ。2000年にエンクレスト第1号となる地上10階建、総戸数56戸の「エンクレスト西公園」を完成させて以降、えんHDは右肩上がりで供給戸数を増やし、近年では年間500戸のペースで供給を続けている。分譲マンションでは13年連続、資産運用型分譲マンションに限れば、17年連続で1位を獲得した。

エンクレストベイ天神EAST
エンクレストベイ天神EAST

 えんHD・原田透社長は、以前の取材で次のように話していた。「当社のお客さまは、オーナーさまと入居者さまです。『立地が良い』『対応が良い』『建物の管理が良い』と入居者さまに支持されれば、自然と入居率は高いまま維持できます。入居率が高ければ、オーナーさまの支持を得ることにもつながってくるのです」――管理戸数の増加にともない賃貸・建物管理など管理部門の重要性は高まり、収益面でもその存在感は増してきた。20年にわたり供給されてきたエンクレストの物件は、その多くが博多区と中央区に建てられており、とくに賃貸需要の高いエリアでは、周囲を見渡すと必ずエンクレストの物件が目に入るほどだ。

 えんHDグループでは毎月の入居率の推移をホームページ上で公開。えんHDグループの強みは、販売力だけでなく物件管理にもある。管理戸数は19年12月末時点で9395戸に上るが、入居率は高水準で推移しており、19年の年間平均入居率は99・53%を誇る。

 エンクレスト入居者を対象にしたサービス「えんくらぶ」では、鍵の紛失や水漏れなど、入居者のトラブルを24時間体制で対応する「えんサポート24」のほか、提携店の食事コースやお掃除サービス、えんくらぶ会員へのプレゼントなどの特典を毎月提供。入居者に対して豊富なサービスが行われている。さらに、毎月開催しているマンション経営セミナーを今年9月からは、オンラインセミナーへ移行したことにより全国から、より気軽な参加が可能となった。

16年に組織再編 さらなる管理強化へ

 この管理部門の強みをさらに生かすべく、これまで販売から管理、流通まで一元的に運営してきた(株)えんは、16年7月に事業を分割。マンション販売会社、賃貸管理会社、建物管理会社、不動産仲介会社、システム開発会社を分割し、旧・(株)えんはえんHDに商号変更し、持株会社となった。

えん博多ビル
えん博多ビル

 分社化の狙いは、グループの賃貸管理・建物管理・流通事業の強化、成果と責任の明確化。そしてポストの増加だ。19年5月には福岡の情報を発信するウェブメディアの運営会社・(株)えんメディアネットを設立し、代表取締役にはグループから抜擢した坪倉氏が就いた。現在、えんHDグループは、11社で構成されている。

 エンクレストの物件が多いエリアとしては、築港本町エリア(福岡市博多区)のほか、住吉エリア(同)が挙げられる。住吉エリアには、エンクレスト博多STYLE(332戸)、博多PREMIER(209戸)といった大型物件のほか、博多、博多Ⅱ、博多Ⅲ、博多LIBERTY、博多LEGENDなど、多くのエンクレストが建つ、同社にとってホットなエリアだ。そして今年5月、えんHDグループは、この住吉エリアに本社を建設し、グループ全社のオフィスを移転した。移転の狙いは、数フロアにまたがっている現在のオフィスをワンフロアにまとめ、社内の風通しの良さを継続発展させるためだという。

30周年の新事業「ホテルトラッド博多」

 今年8月1日には、グループの新たなチャレンジとなる「ホテルトラッド博多」(客室数209)が開業した。グループのオフィスと併設されたえん博多ビルにあり花壇や壁面緑化は、世界的園芸デザイナー・石原和幸氏が監修し、「チェルシー・ガーデン」と名付けられた。100種類以上の植物が使用され、四季の変化によって印象が変わるつくりとなっている。

 えんHDは19年から福岡市が推進する「1人一花運動」に参画し、「366フラワーデイズプロジェクト」に取り組んできた。もちろん、チェルシー・ガーデンやホテル前の歩道花壇、さらに福岡市中心部にある約110棟のエンクレストの植栽も、「1人一花運動」のパートナー花壇およびボランティア花壇に登録している。

(左から)石原和幸氏、えんHD・原田透社長、福岡市・宮島哲瑞博多区長
(左から)石原和幸氏、えんHD・原田透社長、
福岡市・宮島哲瑞博多区長

 ホテルトラッド博多開業を翌日に控えた7月31日、えん博多ビルにおいて「1人一花運動」の花壇プレート贈呈式が行われた。贈呈式で原田社長は、「福岡のまちづくりに長年携わらせていただいています。感謝の意味も込めて、福岡の方々が、花を見て少しでも幸せな気持ちになれば」と話した。作り込まれた植栽に定評があったエンクレストだが、今回のパートナー登録は1人一花運動に賛同したかたちとなった。同じく石原和幸氏は、「花は地元・福岡のものです。近くを歩く方だけでなく、周りのビルからも美しく見えるように配置しました」と話した。

 さらにチャレンジは続く。小笹団地建替余剰地の事業者選定について今年7月、最優秀事業者に選ばれたのだ。えんHDグループの提案は、「地域住民も利用できる共用スペースを計画し、既存の緑を残して地域の記憶を継承し、コミュニケーションを重要視した意欲的な提案」(選定委員会)と評価された。建替えを軸に再生が進められている小笹団地は、北側エリアに余剰地があり、昨年10月から公募が行われていた。管理、企画の強みを背景に、コロナ禍でも堅調な入居率と安定したマンション供給を成し遂げ、続けざまに大きなチャレンジ取り組むえんHDグループの一挙手一投足が注目される。


<COMPANY INFORMATION>
代 表:原田 透
所在地:福岡市博多区住吉3-12-1えん博多ビル
設 立:1989年11月
資本金:1億円
TEL:092-260-5300
URL:https://www.en-hd.jp


原田 透 氏<プロフィール>
原田 透
(はらだ とおる)
1959年7月9日、福岡県生まれ。投資用マンション販売会社を経て、97年3月に(株)えん(現・(株)えんホールディングス)の代表取締役に就任した。取引業者だけでなく、同業者からも原田氏の経営手腕に対する評価は高い。

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