行き場を失う原発の使用済み核燃料~5年後に9原発で容量9割が埋まると試算
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原発を稼働していると毎年発生する、放射能を含む使用済み核燃料が行き場を失っている。
原子力発電所で発生した使用済みの核燃料は、再処理工場を経て最終処分場やMOX燃料加工施設に運ばれるが、再処理を行うまでの間は、原子力発電所内の「燃料プール(貯蔵施設)」や中間貯蔵施設などで一時保管される。
現在、日本国内で貯蔵されている使用済み核燃料は約1万8,000t。使用済み核燃料は原発を稼働すると増え続けるため、その一時保管場所が課題になってきた。そのため、九州電力の玄海原子力発電所の使用済燃料貯蔵設備の貯蔵能力の増強(290t)、同敷地内の乾式貯蔵施設(440t)の設置、四国電力の伊方発電所敷地内の乾式貯蔵施設(500t)の設置、中部電力の浜岡原発敷地内の乾式貯蔵施設(400t)の設置などが見込まれている。また、東京電力ホールディングス(株)と日本原子力発電(株)が出資し、リサイクル燃料貯蔵(株)が運営する青森県むつ市の中間貯蔵施設が2021年度に操業開始を目指すとされ、ここでは最長で50年、3,000tの保管が予定されている。
このように約4,600t相当の使用済み燃料貯蔵施設の拡大に向けて取り組みがなされている一方で、表のように電気事業(連)の試算値では、約5年後に東京電力の福島第二で88%、柏崎刈羽で100%、中部電力の浜岡原発で90%、関西電力の美浜原発で89%、高浜原発で98%、大飯原発で93%、九州電力の川内原発で93%、日本原子力発電の東海第二原発で96%などと9つの原発で一時保管場所(管理容量)のおよそ9割が埋まってしまうと試算されている。
さらに、使用済み核燃料を再処理工場で処理した後の高レベル放射性廃棄物を地層に埋める最終処分場の選定問題も難航している。原発はCO2排出量の削減に役立つとされるものの、発電後の放射性廃棄物の問題を含めて真摯に見つめたうえで、今後の方針を再度見直すべきではないか。
【石井 ゆかり】
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