2024年11月06日( 水 )

激化する新型コロナ・ワクチンの開発競争:副作用の急増で問われる安全性(前)

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 NetIB-Newsでは、「未来トレンド分析シリーズ」の連載でもお馴染みの国際政治経済学者の浜田和幸氏のメルマガ「浜田和幸の世界最新トレンドとビジネスチャンス」の記事を紹介する。今回は、2021年1月8日付の記事を紹介する。


 2020年は新型コロナウイルスによって世界が混沌とした1年だった。21年に入っても、変異種の登場という新たな脅威の出現によって、ワクチンへの期待が一層高まっている。とはいえ、すでに100万人を対象にワクチン接種を進めているアメリカでは、各地の病院で深刻な副作用が発生しているようだ。

 アメリカでは昨年12月から医療従事者を優先的に対象とするファイザーのワクチン接種が始まった。ところが、イリノイ州の病院では4人の看護師が相次いで呼吸困難など副作用に見舞われ、うち1人は重篤化し緊急入院となっている。その後も同様な副作用の症状が広がったため、この病院は臨時閉鎖されてしまった。

 同じような問題はアラスカ州はじめ各州で報告されている。そのため、首都ワシントンのハワード大学病院では医療従事者の多くが配給されたファイザーのワクチン接種を拒否するという異例の事態に直面することになった。同病院の従業員は1,900人だが、接種申込書にサインしたのは600人のみという状況である。テキサス州の総合病院でも、多くの従業員がワクチンへの拒絶反応を示している。

 要は、医療従事者の間でワクチンへの不信感が急速に広がっているわけだ。しかも、似たような副作用の問題はアメリカに限らず英国でも起きている。そこで、英国ではワクチン接種による異常反応を専門で監視、対応するセンターを立ち上げたほどである。アメリカの食品医薬品局(FDA)でも事態を重く受け止め、「副作用について慎重な見極めが必要だ。当初の想定より深刻な副作用が懸念される」との見解を発表。

 実は、ファイザーとモデルナのワクチンの治験では最初からアレルギー疾患のある場合には対象者から除外されていたのである。「子どもの健康を守る会(CHD)」のレッドウッド会長曰く「ワクチンに含まれているPEG(ポリエチレングリコール)がアレルギー反応を引き起こしたと思われる」。コロナウイルスへの予防効果は期待されているものの、こうした副作用問題が放置されたままでは、接種者の数が増えず、結局、感染の拡大に歯止めがかからないこともあり得る。

 そこで、安全性をアピールしようと、ペンス副大統領から始まり、ファウチ博士もバイデン次期大統領もワクチンを接種する様子をテレビで公開することになった。とはいえ、ペンス副大統領の場合は、注射液が異常に少なく、腕に注射針を差し込む様子がカメラに映らないように隠されていた。そのため、アメリカでは「やらせ」ではないか、とのウワサも流れ、正に逆効果と言わざるを得ない有り様だ。

 日本ではファイザーから6,000万人分、その他の英米のワクチンを計1億4,500人分購入する契約を結んでいる。万が一、健康被害が発生した場合には、国が製薬会社に代わって補償するという。しかし、補償問題の前に接種前の血液検査体制をしっかりと準備し、アレルギー反応などの副作用を予防しなければ、「ウイルスのせいではなく、ワクチンで死ぬ」という本末転倒なことにもなりかねない。

 そうした危惧が現実化したのがポルトガルである。ポルトガルでは昨年末の時点で43万人が感染しており、死者も7,000人を超えていた。そのため、緊急承認されたファイザーのワクチンを接種した41歳の女性看護師の例であるが、48時間後に急死したという。それまで既往症もなく健康状態もすこぶる良好であった2児の母親の死に、ポルトガルのみならずヨーロッパでは衝撃が走った。

 日本では報道が限られているようだが、それまでにもブラジルでは若い医師が英国政府も承認したアストラゼネカのワクチンを接種した直後に死亡するという事件も発生していた。こうした死亡事例はあまり大きく報道されないが、顔面神経痛や睡眠障害などさまざまな副作用が報告されている事実は重く受け止める必要があるだろう。

 そうしたワクチンのリスクを把握しているせいか、トランプ大統領は相変わらずで、「ワクチンは医療従事者や介護施設の入居者を優先すべきだ」と、自らはワクチンと距離を置く姿勢を崩していない。しかも、このトランプ発言はファイザーのブーラ社長とまったく同じである。

 というのも、同社長はCNNからの取材に答えて、「先ずは第一線で治療に当たっている医師や看護師そして介護施設の入居者や職員を優先すべきだ。自分がワクチンを最初に接種すれば、自分の命を最優先しているとの倫理的問題が起きかねない」といった理由で自社製のワクチン接種を拒んでいる。

 一理あろうが、これでは国民の間でくすぶる不信感は払しょくされないだろう。そのため、世界保健機関(WHO)もファイザーはじめワクチン開発メーカーも「影響力のあるインフルエンサー動員作戦」を展開することを決めた。

 これまでも前例があり、エルビス・プレスリーはポリオ・ワクチンを奨励し、アンジェリーナ・ジョリーは乳がんの早期発見のための遺伝子検査をアピールしたものだ。今回もハリソン・フォードやキーリー・ジェニーなど有名俳優がワクチン接種キャンペーンに参加している。

 しかし、ネット上では「ワクチン危険説」も広く拡散しており、「ワクチン接種者が国民の8割を超えなければウイルスの拡散は収まらない」といわれるなかで、欧米では賛否両陣営で厳しいせめぎ合いが続いている模様だ。アメリカでは「取りあえず接種者を増やせ」ということで、マサチューセッツ州やコネチカット州など9つの州にある刑務所の囚人を医療従事者の次に優先度の高い部類に指定し、接種が始まった。

 さらに不可解な事件が世界各地で発生している。何かといえば、コロナ用ワクチンの開発に従事したり、その危険性を訴えていた医療分野の専門家が相次いで不審な死を遂げていることだ。カナダの著名なワクチン開発研究者のプラマー博士を筆頭に、ロシアのカガンスキー博士、ピッツバーグ大学のリュウ教授、HIVの研究で知られるラムジー博士、メルク社の元幹部で内部告発を続けていたボーガン氏など、きりがないほどだ。何やら、きな臭い限りである。


著者:浜田和幸
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