コロナ緊急事態宣言とコロナ対策
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日本ビジネスインテリジェンス協会会長 中川 十郎 氏
東京の1月7日の新型コロナウイルス感染者数は2,447名と過去最大を記録。寒波襲来を機に、日本での感染者数は爆発的な急増が憂慮される。
菅政権は1月7日夕刻の緊急事態宣言に先立ち、衆参両院で審議を行ったが、西村康稔経済再生担当大臣1人で応対していた。
コロナ対応に対する政府の対応は、後手後手に回っているように見える。7~8月の東京オリンピック・パラリンピックに対する思惑もあるのだろうが、PCR検査が諸外国に比べて極端に少ないのは問題である。安倍政権時代のアベノマスクの失策、菅政権ではGo Toトラベル、Go Toイートをコロナ禍下にもかかわらず強引に遂行するなど、コロナパンデミック危機への認識が麻痺しているように考えられる。
コロナ対策、医療機関、ワクチン製造などへの援助、補助を早めに行い、それらの資金源としてアベノマスク、Go Toキャンペーンの予算の1割を割けば、資金の上でも十分に対応できたと考えられる。
一方、菅政権は日本学術会議に年間10億円を投入していると針小棒大に喧伝しているが、アベノマスクの当初予算である500億円で日本学術会議の50年分の費用を賄える。役立たないマスクの配布にこのような膨大な予算を投入した安倍政権の常識を疑わざるを得ない。
さらに、菅政権は日本学術会議員から推薦された6名の研究者を「排除」したが、その理由をいまだに開示していない。政府の政策に反対した6名を排除したのは明らかだ。これは学問の自由を保障する憲法への違反ではないか。
情報論の観点から考えると、安倍政権、菅政権のコロナ対策は明らかに失敗だ。危機管理の失敗がその理由だ。政府の国家安全保障局は何をしているのか。リスク管理はリスクの発生を未然に防ぐことが基本である。そのためには関連情報を前もって収集、分析し、リスクや危機を事前に予測し、リスクを管理することが必要だ。
菅政権のコロナ対応を見ていると、十分な危機対応の準備が事前になされておらず、感染爆発の事態に右往左往して、「場あたり的」な対応に終始しているように見える。危機対応の司令塔がないのだろう。
東京大学の児玉龍彦教授は冬場の感染爆発を予測し、徹底した検査の必要性を強調していたが、このような貴重な提言は無視されてきたのではないか。京都大学の西浦博教授は、東京都で沈静化させるには2カ月以上かかると言明。さらに、飲食店の時短営業では、感染者を減らすことはできないとの意見だ。そうであれば、1月8日からの緊急事態宣言は、2月7日までの1カ月間では効果がないことになる。当初から、3月までの2カ月間の緊急事態宣言を発出し、感染制御の対策を講ずることが必須ではないか。菅政権に徹底した検討と対策を要請する次第である。
<プロフィール>
中川 十郎(なかがわ・ じゅうろう)
鹿児島ラサール高等学校卒。東京外国語大学イタリア学科・国際関係専修課程卒業後、ニチメン(現:双日)入社。海外駐在20年。業務本部米州部長補佐、米国ニチメン・ニューヨーク開発担当副社長、愛知学院大学商学部教授、東京経済大学経営学部教授、同大学院教授、国際貿易、ビジネスコミュニケーション論、グローバルマーケティング研究。2006年4月より日本大学国際関係学部講師(国際マーケティング論、国際経営論入門、経営学原論)、2007年4月より日本大学大学院グローバルビジネス研究科講師(競争と情報、テクノロジーインテリジェンス)。関連キーワード
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