2024年11月22日( 金 )

虫けらよ!!オサラバ!!(4)~ITは仮想世界か、現実か不明、フェイクが横行(3)

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フェイクの世界に探りを入れる

 さて、話を戻そう。筆者は「民主国家として世界に君臨する米国に、クーデターが起きるはずがない。眉唾の情報として無視していいのか」と自問自答を繰り返した。

 そして「眉唾の情報として処理すれば苦労はないが、米情報機関幹部にコネのあるYが信憑性のない情報を流すはずもない。情報の信憑性がどのくらいあるのかを探ってみよう」と行動開始した。「こうなれば、YouTubeで世界での情報をチェックしてみよう」と探りを入れたのである。

 何気なくウェブサイトを検索していると突然、おそらく中国人と思われる30歳すぎの青年がつたない日本語で話している音声に出くわした。青年は「ローマの中にあるバチカン市国、パキスタンが攻撃を受けました。ペロシ米下院議長が軍の敷地内に監禁されている」と話しているのだ。

<追記>
 新しい情報として、ペロシ米下院議長は国境で逮捕されているという。筆者は「なんだ、これは!!」と驚き、思わず奇声を上げた。2時間前に友人Aから報告を受けたストーリーと内容が同じではないか。まさしく、トランプ大統領のク―デターのプロパガンダを述べている。

 YouTubeでは、このようなことを24時間、話し続けているのだ。何の規制も受けずに、「やりたい放題」なのである。この話を聞いたトランプ大統領の支持者らが、SNSでさらに拡散させる。友人Aには、「Yの情報の概略はYouTubeで流れている」と伝えた。

クーデターの実況放送

 中国人系とみられる青年が語るこのYouTubeは、まさしく「クーデターの実況放送」である。「今、アメリカ東海岸には2隻の大型船が近づいている。1隻には、1万2,000人が収容され、2隻で合計2万2,000人が強制的に押し込まれる。各市長、富裕層、マスコミ関係者、俳優関係者が逮捕される」という語り口は、スポーツ実況並みだ。加えて、「軍の一部から国民に、食料2週間分を確保し、所持金を携帯してくださいという注意勧告があった」と流暢に語るのである。

 このYouTubeが2週間限定で配信されているのは、1月20日のバイデン大統領就任式を意識させていると思われる。トランプを大統領復帰させるという意味だ。このトランプ陣営の政治戦略は、軍部に権力を委ねている。

 (1)軍は1月20日までトランプ大統領であることを認定している。それまで軍は、トランプ大統領に忠誠心を尽くす。
 (2)軍情報機関がバイデン陣営の国家反逆罪に該当する証拠を固めて、多数の関係者を逮捕する。
 (3)バイデンの大統領選挙の勝利は無効になり、トランプが大統領に返り咲くという骨子である。

結局は軍権力に頼ったトランプが、暴力革命、世界革命を展望する

 さらに、このYouTubeは、以下の内容であった。

 (1)米軍司令部から、放送網を利用した緊急警報システム(EAS)を発動することが発表された。緊急報道がなされるときには、いかなるテレビ、新聞も優先的にこの報道を流す義務がある(従わなければ、罰則や営業停止もある)。このユーチューバーは、「個人の携帯にも情報伝達がある」と平然と語っているのだ。これは戒厳令で情報を管理する常套手段である。軍部と結託して権力奪取を狙うのが、トランプ陣営の基本戦略とみられる。
 (2)「トランプ大統領は次の政治体制では、すきまのない体制を築くと言っている。トランプ大統領がトップに君臨しなければ、権力を維持することができない」として、トランプ大統領の独裁政権を考えているようだ。
 (3)トランプ大統領の支援国をリストアップしている。味方陣営にロシアのプーチン大統領がいるなか、これらの支援国を頼りにしていることに違和感を抱く。日本も現時点ではシンパに見られているが、忠誠心を発揮しなければ、いずれ打倒される対象になるという雲行きであるようだ。

虚構と現実を彷徨する

 要するに、トランプ政権は米国一国を統括する枠を超えて、世界支配、世界革命を展望しているのだ。ここまでくると、さすがにトランプ自身が世界革命を夢想するとは考えられず、トランプ支援者の一部が構想しているのであろう。ただし、この夢想を聞かされると、しんがりの支援者はその立場から「私も世界革命の担い手になれる」と意気軒昂になるのではないか。

 日本でも、トランプ擁護の立場を貫くYouTubeサイトが数多くあることを付け加える。

 筆者は、まことに驚いた。YouTubeの世界では「クーデターを進めることを24時間、報じており、加えてそれらは規制を受けず、野放しであること」を知った。トランプ大統領自身がツイッターで言いたい放題の発言であおり立てて、強力な支援団を形成した。もちろん、米国には見捨てられた白人層の存在があり、彼らがトランプに頼ったのである。彼らは過去の常識・規範を打ち壊す、目に見える存在となった。米国の社会問題の深刻さはここにある。「富と貧富の異常な格差」が現実なのだ。

規制のジレンマ

 これまでの話をまとめる。

 (1)SNSなどの影響力やその威力は、権力奪取には有効な手段(トランプ大統領誕生の効果的な武器となる)とわかった。こうなると、この情報伝達手段を悪用してクーデターを起こし、言いたい放題の発言ができるからこそ、規制の網をかけることが必要。またSNS、YouTubeなどの規制が始まるであろう。関連する企業は先頭に立たないと、追放される破目となる。

 (2)規制の立場が重要になる。これらを自由であると野放図にすると、反社会的な存在になる。そのため、規制・規範の立場が一般的な社会常識を踏まえたものでなければならないが、この立場は世相や時代背景に対してはかなく、もろい。権力者の観点からいえば、国民の自由な権利を拘束する方向になる規制の網をかけることになる。このバランスが絶妙である。

 (3)何よりも、ITの世界に身を委ねた人々は、「現実と虚構」の区別に対する認識が足りず、それらが欠如している。虚構の世界=YouTube情報に触れて、自分の価値観に一致したものには疑いもせず支援する。フェイク情報に軽率に飛びつくということである。

 さらに、米国に見られるように見捨てられた階層(負け組の白人層)は「自身を貧困状態から救ってくれる情報だと感じてすがっていく。フェイクであるかどうかに関係なく、100%信頼する」という選択をする。社会的矛盾の激化にともない、フェイク情報を即座に信用するケースが増加する。この行動に対して、「米国の学力の浅さが露呈された」と単純に批判するだけでは解決にはならない。この風潮は、日本でも高まりはじめている。

 最後の結論としては、国民が虫けらからオサラバできるよう、情報を取捨選択できる能力に磨きをかける方法しかないのだ!!

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