福島第一原発事故による放射性物質汚染の実態~2019年、福島県二本松市の汚染の現状と黒い土
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NetIB-Newsでは、千葉茂樹氏が福島第一原発事故による放射性物質汚染の実態について行った調査結果を、環境放射能除染学会誌の同氏の論文から紹介する。
2011年3月11日に東北地方太平洋沖地震が発生し、直後に福島第一原発事故が発生した。3月15日、本論の二本松市を含む福島県中通りは、放射性物質に汚染された。
2019年、著者は二本松市市街地南部の空間線量率を調査した。調査地域は、1972年の国道4号バイパスの開通、92年の二本松市役所の移転と周辺地域の造成などで、里山が開発された地域である。調査地域の中心部は丘陵地で、小山が南南西―北北西に分布する。この丘陵の中に二本松市役所がある。
「各市町村の除染実施状況」によれば、汚染状況重点調査地域(除染実施区域)の除染(住宅・公共施設・道路・農地・森林(生活圏))は、18年3月に完了した。この中に二本松市が含まれる。また、「除染について」は、除染の目標を「長期的な目標として追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以下」(原文)としている。1mSv/yは、時間当たりに換算すると0.23μSv/hになる。
調査では、地上1mの空間線量率を測定した。調査期間は19年5~9月の延べ25日、測定器は日立TCS-171である。
5,921地点で測定した結果、全域の空間線量率は0.06~2.56μSv/h、平均は0.28μSv/hであった。この中で、0.10μSv/h以上0.40μSv/h未満の地点が4,832地点と全体の約82%を占めた。
また、1μSv/h以上の地点が22地点であった。さらに、廃業したパチンコ店のアスファルト駐車場に「黒い土」と呼ばれる高放射能土を確認した。高放射能土の空間線量率(高さ1m)は2.26μSv/hであった。
<プロフィール>
千葉 茂樹(ちば・しげき)
1958年生まれ。岩手県一関市出身。元福島県高等学校教諭。専門は火山地質学。調査の中心は磐梯山。この他に、「富士山、可視北端の福島県からの姿」などの多数の論文がある。2011年3月11日の福島第一原発事故の際は、福島市渡利に居住していた。翌12日、会津の猪苗代にいったん避難して20日に渡利に戻る。異変を感じたことから、専門外の「放射性物質による汚染」の研究を始めた。その後、阿武隈山系の平田村に転勤となる。平田村は原発から約45kmと近いが、地形の影響で「汚染がドーナツ状に低い地域」のほぼ中心にある。著者の調査形態は、地質調査と同じ「徒歩」が基本。2019年3月で定年退職。
※詳細な調査データは「報告書・論文など」として、京都大学吉田英生教授のHP(Watt & Edison)http://wattandedison.com/Chiba2.htmlに掲載。磐梯山の論文も含む。関連キーワード
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