藤商事をとある魔術が救うのか
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パチンコ・スロットメーカー、(株)藤商事が市場投入した「Pとある魔術の禁書目録JUA」が好評を博している。初当たり後に必ずST(確変状態)に突入するという仕様は、遊技ファンにとって勝負しやすいほか、初めてパチンコを遊技する人にとっても、映像や効果音による意匠がこらされた演出や、当たりが続く、いわゆる“連チャン”を楽しみやすく、パチンコデビュー台として申し分ない(天井直行とならなければ)。
市場からの評価を受け、増台を決定するホールも続出。メーカーに求められている、ホールでの高稼働に貢献している様子がうかがい知れる。しかし、同社は21年3月期の業績予想を売上高246億円で前期比5億7,200万円の減収、当期赤字20億円としている。予想通りの結果になった場合、とある魔術のスマッシュヒットですら、18年3月期以降続く、同社の減収傾向を“ぶち壊す”までには至らないということになる。
同社が523億1,400万円の売上高を計上した18年3月期を振り返ってみると、同期はパチンコ「CRリング終焉ノ刻」「CR喰霊-零-」「CR FAIRY TAIL」など、人気機種や注目機種を複数台発売している。スロットも同じで「パチスロ リング終焉ノ刻」「パチスロ 地獄少女 宵伽(よいのとぎ)」、後に伝説となる「パチスロ 世界でいちばん強くなりたい!」など、複数台が市場投入された。
18年3月期以降の業績は、改正風営法(18年2月施行)の影響を免れないというのもあるが、改めて、どれだけ人気タイトルを市場に送り込めるかという、版権獲得力と開発力が肝だと感じる。
ただ、「とある魔術の禁書目録」は人気コンテンツではあるものの、そのネームバリューだけで遊技ファンの心をつかむことはできなかったはずだ。藤商事にはこれからも、遊技者目線の追求を通じたパチンコ・スロット台の提供によるシェア拡大と、それにともなう売上と収益力の回復を目指してほしい。
なお、藤商事は借入金がなく、自己資本比率は18年3月期以降向上を続けており、20年3月期時点で85.74%におよぶ。
【代 源太朗】
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