2024年12月27日( 金 )

【特別インタビュー】再分配機能の強化で貧困をなくす コロナ禍で「小さな政府」は終焉(中)

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立憲民主党 衆議院議員 山内 康一 氏
福岡県総支部連合会代表

(聞き手:データ・マックス代表取締役社長 児玉 直)

政権交代のチャンス到来

 ――コロナ禍の対応などを通じて、国民は「自民党独裁」が間違いだったと気づいたのではないでしょうか。アベノミクスの恩恵を被っているのもごく一部の人たちですし、そう結論づける人は相当数いると思います。

立憲民主党 衆議院議員 山内 康一 氏 山内 安倍政権において経済が順調だという印象になったのは、株価が高かったからだと思います。しかし、それは官製相場で無理やりつり上げてる部分がありますし、株価と連動して景気が良くなったという実感があるかというと、恩恵を被ったのは一部の職種、一部の富裕層だけだったのではないでしょうか。実質賃金も上がっていませんし、非正規雇用も増えるばかりで、マジョリティーにとってのアベノミクスはそれほど良い政策ではなかったと思います。

 円安政策は輸出企業にとっては良いのですが、消費者目線でいうと購買力の低下を招くわけです。そんなに良い政策ではないし、インバウンドの観光客は増えたけれど、それは日本人が海外旅行しにくくなったことの裏返しでもあります。企業経営者にとってアベノミクスはそれほど悪い政策ではなかったでしょうが、労働者は「アベノミクスは良い政策ではなかった」と少しずつ感じているのではないでしょうか。

 金融緩和のおかげで株価だけが上がっているのはおかしな状況だと思います。これがバブルでなくて何をバブルというのでしょうか。こうした状況をつくった安倍前総理の罪は重いと言わざるを得ません。

 ――2009年に民主党が政権奪取。当時、衆院選では福岡の選挙区においても8区以外は接戦で野党が勝つかもしれないという雰囲気がありました。

 山内 政権交代にはある法則があり、不景気のときでないと政権交代は起きません。リーマン・ショック後の09年に民主党政権が誕生しましたし、細川連立政権はバブル崩壊後でした。また、アメリカ大統領が変わるタイミングで日本の政権交代が起こるという法則もあります。オバマ就任後の09年に民主党政権が誕生し、クリントン大統領が就任した93年に細川連立政権が誕生しているのです。そういう意味では、今年はバイデン氏が新大統領に就任することもあって政治への変化が期待される年になると思います。

 今の菅政権は06~08年ごろの自民党の雰囲気に似てきているように感じます。当時の自民党は党内の権力闘争に終始した結果、国民に愛想を尽かされたという側面があります。党内の権力闘争が激しくなると敵対する陣営から(情報の)リークがあるし、霞が関の官僚が言うことを聞かなくなるなど、だんだんボロが出てくるようになるのです。こうした状況は我々にとってチャンスなのでもっとしっかりしなければいけないのですが、おそらく支持者の方々には歯がゆい思いをさせていると思います。

 ――選挙に向けてどういった手を打たれるのでしょう。

 山内 立憲民主党・福岡に関しては、再び国民民主党と一緒になったことで体制が整備されたと思います。しかしまだ新人が多く、空白区もあります。選挙に向けて残された時間でできることはすべてやらなければなりませんが、新人の準備が順調に進んでいるとは言えない状況です。コロナ禍で活動が大幅に制約されていることも影響しています。集会は開けないですし、街頭演説ですら難しい状況です。どうしても現職が有利になってしまうのが、コロナ禍における選挙だと思います。今の状況で何ができるかを考え、できることはすべてやるしかありません。

(つづく)

【データ・マックス編集部】

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