【長期連載】ベスト電器消滅への道(17)問われるヤマダ電機の真価(3)
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かつて家電業界で日本一の売上高を誇ったベスト電器がヤマダ電機に完全に吸収された。なぜ、このように消滅するという事態になったのか!当社は長期にわたってベスト電器に関する記事を掲載してきた。今回の連載では、ますベスト電器によるビックカメラとの合併の試みの破綻、ヤマダ電機による買収の歴史を遡ってみた。つづけて、比較検討対象として、ユニード、寿屋というほかの地場有力企業の挫折について振り返り、没落していく企業には内部の腐敗、戦略の欠如といった問題が散見されることを確認した。最後に、家電業界に君臨するヤマダ電機が行っている組織の再編、戦略をみていく。
ヤマダ電機の近年の動きについてみてみると、2019年に大塚家具を子会社化し、家具・インテリア分野に進出、20年には住宅メーカーの(株)レオハウスを完全子会社化、(株)ヒノキヤグループを連結子会社化した。
20年2月に都市型店舗「LABI」の4店舗をリニューアルし、品ぞろえをさらに充実させるとともに、大塚家具の高品質の家具・インテリアとヤマダ電機の家電を組み合わせた住まいシーンの提案コーナーを設けた。
また3月には大塚家具の「有明本社ショールーム」で家電展示販売を開始し、これを皮切りに、大塚家具の各店舗へ順次、家電の展示展開を進めている。昨年12月には、大塚久美子社長が辞任し、ヤマダHDの三嶋恒夫社長が、大塚家具の代表取締役会長と兼任するかたちで同社の新社長に就任し新体制となった。ただ、経営再建に向けての道のりは依然として厳しいと言わざるを得ない。
これに対し、住宅事業はグループとして注文住宅の年間受注規模が 6,000棟超に発展し、来期の売上は3,000億円以上を見込んでいる。
自社でも、新規領域へのチャレンジが進めている。「インテリアリフォームYAMADA」はホームファッション・家具の専門店。17年に群馬県前橋市に1号店を設けたが、その後多店舗化は進んでいない。
家電では、ウェブと価格を連動した「YAMADA ウェブコム店」やアウトレット専門店の「YAMADAアウトレット・リユース」を展開している。「YAMADA ウェブコム店」は通常店舗の約2倍の品ぞろえで、現在20店舗だが、22年度末には100店舗まで拡大させる計画だ。
既存店においても、書籍、医薬品、日用品、雑貨、化粧品、食品など取扱商品を拡大し、新たな需要の取り込みを図っている。ただ、こうした取り組みは成果の出てないものもあり、売上の8割以上を家電が占め、住宅関連は9%、その他は8%に過ぎず、現時点では、いまだ道遠しというのが実情だ。
その一因として、多くの家電品はメーカーのバリエーションが限られるため、品ぞろえで差別化を行いにくく、価格で勝負してきたという経緯がある。商品開発、マーチャンダイジング、マーケティングに鑑みる必要性が少なく、店舗における売り場づくりにおいてもメーカー別の展開で創意工夫を必要としない傾向が強かった。
しかし、近年はこうした姿勢を改めて、商品開発では冷蔵庫、洗濯機、調理・理美容、照明、電池などオリジナル商品約500アイテムを展開し、拡充させている。
(つづく)
【西川 立一】
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