とことん「リアル」なアート展~日中芸術交流展 山田ゆかり×武楽群「響き合う世界」
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五感すべてを使って楽しめるアート
「こんな時期だからこそ、作品を見る人がほっとして、明るい気持ちになってほしいという思いが強くなりました」。日々の生活のなかで何気なく過ごせることの幸せや、つい忘れがちなときめきを抽象絵画や写真とのコラボレーションで表現する画家、山田ゆかり氏は語る。
オンラインの対極にあるのがアートかもしれない。五感すべてを使って楽しめる、とことんリアルな世界にこだわった「日中芸術交流展 山田ゆかり×武楽群『響き合う世界』」が2月17日~26日まで中国文化センター(東京都港区)で開催されている。
日本と中国の両方で活躍している山田ゆかり氏と武楽群氏の作品を公開し、多くのアジア諸国で今も続いている旧正月(春節)を祝う。武氏は中国の伝統的な楽器「ニ胡(にこ)」の奏者であり、風景や人、文化を写実的に描いた雄大さを感じる作品が魅力だ。
一足先に春を感じる「桜日和」
色使いでイメージが大きく変わる絵画。「響き合う世界」展では、明るい色を使い、見る人の気持ちがぱっと明るくなるような作品が並ぶ。
壁に絵をかけるだけでなく、絵のテーマに合う植物を一緒に飾ることで、見る人が感じる世界観が広がってほしいと、フラワーアーティストの前芝良紀氏が空間のフラワーアレンジメントを工夫している。
山田氏の作品は、光の具合で作品から放たれる輝きが変化する抽象画シリーズ「Find the sparkling moment in life」とともに、らせんを使って富士山を描いた新作「Mt.Fuji」などポップアートに近い新しい作風も。この作品では、雪景色のダイヤモンドダストのきらめきや山肌、地中に流れる目に見えないマグマを絵画のイメージで表現している。
また、各地で撮影した写真を基に絵具で描いた絵画を組み合わせた新しいジャンルのアートである「I happy am, Joy is my name.」シリーズでは、海外に渡航しにくいコロナ禍のなか、日本に焦点を当てた作品がいくつも登場。たとえば、海の近くにある鳥居の風景をモチーフにした作品。立春を過ぎて日の光が少しずつ春らしくなるなか、一足先に春を感じる「桜日和」。数年前に、桜の季節に都内で雪が降ったときの1コマをモチーフに制作した「桜雪」。ふと歩みを止めて見つめたくなる、何気ない一瞬の風景を描いた作品だ。
アート写真と詩のコラボも
水滴をあしらったアート写真の「All’s right with the world!」のシリーズでは、詩とのコラボレーションも生まれた。見る人に作品の世界観を感じてもらえるように、作品のコンセプトを詩で表現している。山田氏は「これからも、世界観を共有できる詩とコラボレーションした作品を増やしていきたいです」と意欲的だ。
「響き合う世界展」は目で見る絵画をはじめ、作品を飾っているインテリア、音楽、アロマの香りと五感すべてでアートのある空間を楽しめることがコンセプト。アートに詳しい人はもちろん、これまでアートに触れる機会があまりなかった人にも興味を持ってもらい、多くの人の人生が豊かになるきっかけになればという思いも込められている。
やはり足を運んで本物の作品を見てこそ伝わる世界観もある。山田氏は「たとえば、同じ絵でも見る角度や光で印象が大きく変わります。実際に自分の目で見たり、五感を使って感じる気持ちを大事にしてほしいと感じています」と語った。
【石井 ゆかり】
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