2024年12月23日( 月 )

「人づくり」に注力 福岡に明るい未来を(前)

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(一社)福岡青年会議所 理事長 彌登 義明 氏
専務理事 戸嶋 太一 氏

 (一社)福岡青年会議所(以下、JCI福岡)は「明るい豊かな社会」の実現を目指し、日々さまざまな活動を行っている。昨年はコロナ禍により活動を大きく制限されることとなったが、オンラインの活用による国際会議の開催など、コロナ禍にあっても創意工夫をこらした活動を行ってきた。今年、JCI福岡の第69代理事長に就任した彌登義明氏と専務理事の戸嶋太一氏に今後の活動などを聞いた。

(聞き手:(株)データ・マックス 取締役 緒方 克美)

世界80カ国をつないだ「国際アカデミー」を主催

 ――昨年はコロナに翻弄された1年だったのではないかと思います。振り返ってみていかがでしょう。 

(一社)福岡青年会議所 理事長 彌登 義明 氏
(一社)福岡青年会議所 理事長 彌登 義明 氏

 彌登 福岡青年会議所(以下、JCI福岡)は2020年7月に前任の出田正城理事長のもと、「国際アカデミー」を主催する予定でした。「国際アカデミー」とは、世界約80カ国の会頭候補者と日本全国の約100名の青年会議所メンバーが集まり、約1週間のスケジュールでホームステイや学校の訪問、開催地プログラムを実施する事業です。私も事前準備のためにナイジェリアに赴き、打ち合わせを行いましたし、私の隣にいる彼(JCI福岡専務理事・戸嶋太一氏)もレバノンに行くなど、JCI福岡メンバーが一致団結し、文字通り世界中を飛び回っていました。

 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響で、通常のかたちでの開催を断念せざるを得なくなってしまいました。そこで「完全ウェブ」形式で世界80カ国以上をつなげて、20年10月27日から11月2日までの7日間にわたり「国際アカデミー」を開催することになりました。開催時間は世界中の皆さんが最も参加しやすい時間帯である午後8時から午後10時に設定しました。世界80カ国をつないだ、これほど大規模なオンラインプログラムは民間では世界初の取り組みだったそうです。

 「国際アカデミー」開催の際のネットワーク構築を某大手通信会社に打診したところ、「通信切断のリスクがある」という理由で断られてしまいました。そこに救いの手を差し伸べてくれたのが、ベンチャー系の通信会社でした。おかげさまで開催中、通信が切断することもなく、無事にプログラムを終えることができました。今後のイベントもオンラインで開催する予定です。コロナ禍の今だからこそ、こうした取り組みを行えたのだと思っています。

 現状、お互いの国を行き来することはかないません。しかし、オンラインの活用によって交流の機会を創出しやすくなり、心と心の距離が縮まった実感があります。 

 ――そのほかに取り組まれたことはありますか?

 彌登 4月上旬からは、「スマイルマスク運動」という取り組みを出田正城理事長の強いリーダーシップのもとでスタートしました。これは、マスクの着用を嫌がる子どもたち、マスクをつけていて表情が見えない大人への不安感を和らげるらために、マスクに「ニコちゃんマーク」を貼る運動で、市内の学童保育施設に「ニコちゃんマークマスク」や消毒液などを寄贈しました。

 この運動は大きな反響を呼び、フジテレビの「めざましテレビ」など全国ネットのメディアで取り上げられたほか、福岡ソフトバンクホークスの選手たちもこの運動に参加してくれました。

スマイルマスク運動に参加した一般の方々(左)とホークス選手(右)

個々の結束力強化が組織全体の強化に 

 ――今年はどういった1年にしていきたいですか? 

 彌登 今年のJCI福岡のスローガンは「HOPE to NEW ERA」です。このスローガンには「どんな時代であっても、JCI福岡の全メンバーが希望を胸に、新時代の開拓者として光り輝く1年になり、1つでも多くの学びと気づきを得られるように」との思いが込められています。

 JCI福岡に限らず青年会議所は「人づくり」を行う組織です。これまで「まちづくり」を通じて、数多くの「人づくり」を行ってきました。今後も次世代を担う人材を育てていくことが、我々に課せられたミッションだと思っています。メンバーには、どんな時代になろうと生き抜いていける力と術をJCI福岡での活動で得てほしいと伝えています。

 いかに青年会議所が独立自尊の精神を持つ組織だと言っても、コロナ禍のなか何をやってもいいということにはなりません。世の中の流れに沿った行動をしなければ、単なる「孤立した組織」でしかありません。世間の大勢に従いつつも、来るべくコロナ収束後を見据え、反転攻勢をかけられるように、各チームのリーダーたちには方策を考えてもらっています。 

 今年、緊急事態宣言発令前に「2021年度新春例会」を開催しました。検温、ソーシャルディスタンスの確保、マスクの着用など万全のコロナ対策を施したうえで、会員の皆さまに理事長としての私の考えを発表させていただきました。なお、会社の規定などで、どうしても参加できない方にはオンラインで参加してもらいました。

 ――会議なども今後はオンラインで開催する予定ですか? 

 彌登 緊急事態宣言発令前に、「1月度理事会」を万全のコロナ対策を施したうえで開催しましたが、今後は基本的にビデオチャットサービス「Zoom」によるオンライン理事会・会議を開く予定です。

 私は各リーダーに「大勢で集ってお酒を飲むことだけがコミュニケーションではありません。こういう時代だからこそ、少人数でのランチやお茶をする。そうした機会を頻繁に設けることで個人個人の結束が強くなる。そうしたつながりが広がっていくことで、結果的に組織全体の結束が強くなる」と言っています。

 50代、60代の我々の先輩方は、頻繁に中洲に集まり、コミュニケーションを図っていたそうです。先輩方は我々後輩たちに「中洲を元気にすることが福岡を元気にすることだ。だからこそ、中洲でお金を使っているんだよ」と、事あるごとにアドバイスをしてくれました。ただ、コロナ禍にあってはそうした活動も難しいので、JCI福岡における我々世代のコミュニケーション方法が、今後の分岐点になってくるのかなと感じています。 

(つづく)

【文・構成:新貝 竜也】


<プロフィール>
彌登 義明
(みと・よしあき)
1981年9月生まれ。Witan International College卒業後、協栄興産(株)に入社。2011年4月に(株)ケアコム代表取締役、15年4月に協栄興産(株)専務取締役就任。16年10月に協栄地所(株)を設立し、代表取締役に就任した。

(後)

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