2024年09月29日( 日 )

5日開幕 中国・全人代の注目点~経済成長率目標、中長期目標、香港統治

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 中国できょう(5日)、全国人民代表大会(以下、全人代、国会に相当)が開幕する。例年3月に開催される全人代は、昨年は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、5月に延期されて開催したが、今年は例年通り3月5日の開催となる。

 全人代ではその年の経済成長率目標と経済政策が提示され、注目を集める。経済成長率目標については、昨年はコロナのため目標は提示されず、今年も提示されないとの見方がある。ただ、外部のエコノミストは以前から中国は2021年に8%の経済成長を達成するとの予測を出しており、昨年12月の中央経済工作会議前後には、中国政府が8%を目標として定めるとの報道が出ていた。なお、中全人代に先立って開催された各地方(直轄市・省など)の人代は、おおむね7%以上の目標を提示している。

 経済政策では、21~25年の中期経済目標「第14次5カ年計画」を発表する見通し。また、昨年10月の中国共産党中央委員会第5回全体会議(5中全会。共産党中央会議は政治的目標を
定め、全人代はより具体的・実務的な経済社会政策などを定める)で提示された、35年に1人あたり国内総生産(GDP)を中等先進国並みに引き上げるという長期目標を掲げており、より具体的な政策が提示されるとみられる。

 また経済政策では、中国が5中全会で国際市場と国内市場の連動を強調する「双(ダブル)循環」という、国内消費を拡大する方針を打ち出したことに鑑みた国内消費の振興策、米中対立を受けた国産技術開発の振興策、米国の政権交代にともなう政策転換を受けた環境政策などが注目される。

 政治面では、海洋政策、対香港政策が注目される。どちらも2月に大きな動きが見られた。中国政府は2月に海警法を制定し、海洋警備を担当する公船に武器使用を認めており、尖閣諸島の周辺海域で緊張が高まることが懸念されており、関連法案を打ち出す可能性がある。

 対香港政策では、親中派による統治を制度上、より強固なものとするため、選挙制度改革などが提起されるかどうかが注目される。香港政府は2月28日、民主活動家の黄之鋒(ジョシュア・ウォン)氏や民主派の立法会(立法機関)議員、区議会(地域の議題を担当)議員ら47名を香港国家安全維持法に基づき国家政権転覆共謀罪の疑いで起訴した。香港メディアは、立法会の選挙制度や香港政府トップの行政長官を選ぶ選挙委員会の変更が議論されると予測している。

【茅野 雅弘】

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