目指すのはスーパー一次下請業者 創立30年を迎えた地盤分野の総合商社
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(株)ワイテック
地盤改良工事や山留工事、杭工事ほか地盤分野の工事を中心に九州圏内で実績を積み重ねてきた(株)ワイテック。「土の専門家」として地場および大手ゼネコンなどからの信頼も厚い同社は2024年4月に創立30周年の節目を迎えた。現在は会社をホールディングス化し、地盤分野の総合商社としてさらなる成長を目指している。
従業員3名から始まった地盤分野の総合商社
1994年の設立以降、福岡を中心に九州圏内の建設業者を地盤分野からサポートし、信頼と実績を獲得してきたワイテック。2024年4月に創立30周年を迎えた同社を率いるのは代表取締役社長・行武志郎氏だ。
行武氏の実父が経営する行武通信建設(株)(現・(株)ユクタケ)のグループ会社としてスタートした。21年程前までは6畳程度のトタン板プレハブ小屋の事務所に従業員3名という体制だったという。行武氏自身も日々現場や営業に奔走した。「とにかく、がむしゃらに頑張りました」と笑う行武氏だが、その手腕は卓越している。13年3月には福岡市博多区に自社ビル「Blanc・Style博多」を完成させ、本社を移転。その後も、16年7月に太宰府ヤード、18年4月に沖縄営業所、19年4月に大濠オフィス、20年4月には長崎出張所を相次いで開設。業界では比較的後発の企業でありながら、順調に事業を拡大してきた。
そして24年3月にホールディングス化することを発表。(株)YFG.ホールディングスに商号を変更し、事業を継承する会社として新たに(株)ワイテックを設立した。グループ会社の(株)エステック、(株)ゆくたけ興産、(株)エスジーコーポレーション、SGパートナーズ(協)がホールディングス傘下に加わり、現在ワイテックの従業員数は30余名、グループ全体では50余名にのぼる。
わずか3名でスタートした同社は「地盤分野の総合商社」として成長を遂げ、日々の業務に取り組んでいる。一方、M&Aなども視野に入れ、さらなる事業拡大を目指している。
あらゆるニーズに対応 技術に裏打ちされた提案力
同社の事業は地盤改良工事や山留工事、杭工事のほか土木工事や不動産運営など多岐にわたる。今日まで技術やノウハウを積み重ねてきたからこそ事業を多角化できている。「地盤分野の総合商社」として活躍する同社の強みは「技術力」と「企画提案力」だ。
その技術力はとくに同社が得意とする地盤改良を生かした山留工事において大いに発揮される。なかでも同社が開発した連続壁土留(コラム壁)工法は高い評価を受けており、多くの地場および大手ゼネコンなどで採用されている。これは、地下構造物・埋設物の施工中に掘削側の側面を保護し、周辺地盤の崩壊や土砂の流出および止水性を高める効果のある仮設構造物を設置するというもの。施工機の大きさを変えることで、狭小地から搬入路まで広狭さまざまな敷地条件に対応可能だ。
そのほかにも、低コストながらも高い安全性を誇る「GIコラム-S工法」やあらゆる地盤に対応できる各種認定杭工事など「土の専門家」の技術で建設業者を地盤分野からサポートしている。また、創立当初から培ってきた営業力に同社の誇る高い技術力と幅広い事業内容を掛け合わせ、多様なニーズをかなえる企画提案力を実現。地盤分野におけるコンサルタントのような独自のポジショニングに成功した。
近年では、他業者への知見を深め、事業展開の幅をもたせようとほかの専門業者と連携してほかの業種などにも着手し始めているという。「スーパー一次下請業者を目指して、どこまでやれるか挑戦したい」と行武氏は語る。
人材こそが企業の「地盤」となる
ICT建機やRPAツールの導入を進める一方、同社は人材育成に力を入れている。行武氏は「会社を経営するのに必要なのは人、物、金、です。そのなかで、人という要素が最も重要だと考えています」と人材育成の意義を強調する。
同社が社員に求めるのは、「技術や仕事のノウハウを身に着ける前に人間性を磨く」こと。個々のサービス提供だけでは企業の繁栄は難しい。そこで、担当する社員の個性や能力によらず、常に同品質のサービスを提供可能な社内サポート体制の強化のため、同社では知識や経験、情報を共有できる組織づくりに取り組んでいる。所属部署の垣根を越えて同一の課題へ取り組むプロジェクトチームを編成したり、社内イベントを企画したりとコミュニティの活性化を図るほか、福利厚生を充実させ、働きやすい労働環境を整備。「社員の幸福はお客さまの幸福に直結する」という信念のもと社員へのケアを怠ることはない。
採用にも力を入れている。20年から新卒採用を始め、毎年新卒の採用ができている。業界では人手不足が叫ばれるなか、毎年加わる新卒社員の存在は同社の手厚いサポートや社内の雰囲気づくりが結実した証左だろう。業界でも圧倒的に平均年齢が若い企業にとなった同社。今後は高卒の採用も視野に入れており、県内各地の高校を訪問し説明会などを行っている。
福岡を中心に九州圏内で「地盤分野の総合商社」として建築業界を支えてきた同社。行武氏は「日本経済の失われた30年」といわれるなかでの30周年を迎えられたことは大いに価値があることだと捉え「創立30周年の次は50年、50年の次は100年と続くような企業の地盤をこれからつくりたい」と語り、決意を新たにした。
<COMPANY INFORMATION>
代 表:行武志郎
所在地:福岡市博多区博多駅南2-2-7
設 立:1994年4月
資本金:1,000万円
TEL:092-292-1516
URL:https://www.y-tech.biz関連キーワード
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