カーボンプライシングを検討、炭素税やCO2排出量取引の導入を視野に~環境省
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環境省は2日、「カーボンプライシングに関する小委員会」を開催し、炭素税の導入やクレジット取引などの導入について議論した。年内に方向性を取りまとめる。
再生可能エネルギーをはじめ、脱炭素を後押しするといわれる「カーボンプライシング」。温室効果ガスの排出量に応じて企業などに負担を課す制度だ。
今回議論された炭素税とは、電気や燃料の利用に対し、二酸化炭素(CO2)の排出量に応じて課税することで、炭素に価格を付ける仕組み。「2050年カーボンニュートラル・成長戦略」で、イノベーションの実現や産業・需要構造の転換などを踏まえて設計する方針が掲げられている。
<炭素税を導入する場合の構想案>
(1) 課税水準の設定
海外の炭素税や国際機関の水準も参照して設定。(2)課税水準の段階的な引き上げ
低い課税水準で導入し、段階的に引き上げていくことを明示する。将来的に高水準とすることで環境投資を促し、早期に削減に取り組むインセンティブをもたせる。(3)税収、企業の税負担
カーボンニュートラルに向けてCO2排出削減が進むと、企業などの税負担は低減すると考えられる。炭素税は欧州やカナダなどですでに導入されている。CO2排出量1tあたりの炭素税はスウェーデンが約1万4,000円、フランスが約5,500円などで、導入国の多くで税率の引き上げが行われている(グラフ参照)。
日本では地球温暖化対策税(温対税、CO2排出量1tあたり289円を企業などが負担)に加えて、石油石炭税、揮発油税、軽油取引税などのほかのエネルギー税率を加味した場合、1tあたり約4,000円(現時点)の税金がかかる。カーボンプライシングが本格化すると、「炭素の値段」はこれよりも高くなると見込まれる。
炭素税の課税段階については次の4パターン、またはその組み合わせが候補に挙げられている。
(1)化石燃料の採取・輸入時(上流)
(2)石油精製所や都市ガス製造所、発電所からの出荷時(中流)
(3)ガソリン・ガス・電気などの工場、オフィスビル、家庭への供給時(下流)
(4)最終消費者への供給時(最下流)また、炭素税の負担に対しては、税の減免・還付措置や、排出量取引制度の無償割当などを設けることも検討されている。
炭素税の税金の使途は、カーボンニュートラルの実現に向けた技術開発やイノベーションによる構造転換の後押しをはじめ、財政赤字の削減などさまざまな選択肢が提案されている。
【石井 ゆかり】
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