【医療/熊本】九州発コロナワクチンの治験始まる KMバイオ
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明治ファルマ傘下のKMバイオロジクス(熊本市)は3月22日、福岡市の医療法人「相生(そうせい)会」が経営する博多クリニック(福岡市)と「にしくまもと病院」(熊本市)で、健康な成人数人を対象に新型コロナウイルスに対する国産初の不活化ワクチンの第I/II相の臨床試験を開始した。
第I/II相の臨床試験(治験)の対象は、20歳以上65歳未満の健康な成人と65歳以上の健康な高齢者合わせて210人が目標。博多クリニックとにしくまもと病院で全員を募る。
治験デザインは、「ダブル・ブラインド・テスト」と呼ばれる一般的な方法。参加者を2群に分けて一方に被験薬を、他方には対照薬(偽薬など)を投与して比較し安全性や有効性を評価する。どちらの群にどちらの薬を投与しているか、医師や参加者、スタッフは誰も知らない。
接種は1回あたり0.5㏄を2回、27日間の間隔を置いて筋肉内に注射する。同社広報課は「第I/II相治験を速やかに終了し、12月末までに第III相治験に移行したい」と話している。
同社のワクチンは、新型コロナウイルス株をアフリカミドリザル腎細胞由来のベロ細胞で培養(増殖)。その後、培養させたウイルスをホルマリンなどで不活化(感染性を喪失)させて精製する。インフルエンザワクチンなどで広く使われる手法。
一方、同社は2月に英・アストラゼネカ社の日本法人(大阪市)と結んだ契約に基づき、同法人が厚労省に製造販売を特例承認申請中の新型コロナワクチンの製剤化(バイアル充填と包装)を、熊本県の合志事業所で進めている。
日本法人は、バイオ医薬品メーカーJCRファーマ(兵庫県芦屋市)にコロナワクチン原液の生産を委託しているが、KMバイオ合志事業所で製剤化中のワクチン原液は米国生産で空輸されている。
アストラゼネカ製ワクチンは、弱毒化したチンパンジーの風邪ウイルス(アデノウイルス)に、コロナウイルスのスパイクタンパク質の遺伝情報を組み込んでつくる。アデノウイルスが“運び屋”(ベクター)の役回りをしていることから「ウイルスベクターワクチン」と呼ばれるタイプのワクチンの1つ。
国内では第一三共子会社の第一三共バイオテック(埼玉県北本市)もアストラゼネカ製ワクチン原液を海外から輸入し製剤化している。
【南里 秀之】
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