住友林業、住宅の見積書の明細を開示せず不誠実な契約!(前)
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木造住宅メーカー最大手の住友林業は、「ビッグフレーム構法」(木質ラーメン構造)、「マルチバランス構法」(木造軸組構造)などの耐震性の高い構造と高級感を感じられる仕様で人気も高く、ブランド力を強味としている。その住友林業の契約に関して、見積書の本体工事の内訳明細の開示を求めた契約者に対し、「会社のシステム上、開示できない」という回答を行った住友林業の対応が問題となっている。
総額5億円の高額な住宅の見積書の内訳明細を開示しない住友林業
東京都内在住のA氏(会社経営者70代男性)は、2017年に購入した古屋付きの敷地に3世帯住宅の建設を計画し、数社のハウスメーカーを候補として検討をした結果、大手で人気も高い住友林業を選び、取得した土地に残る古屋解体から住宅新築に関する設計施工までの一貫した業務を住友林業に依頼した。ちなみにA氏は建築に関してまったくの素人である。
消費税率が10%に引き上げられる半年前の19年3月、設計内容が未確定であった時点で、住友林業から見積書と約6億円の建設資金計画書が提示された。A氏は金額に驚嘆したが、建築に関して素人であるため、見積書や建設資金計画書の内容について十分に理解できなかった。
そのようなA氏に対し、住友林業が「今のうちに契約すれば消費税8%をキープできますよ」と早期の契約を勧めたため、A氏は、設計内容が未確定のまま、3月31日付けで工事請負契約を締結した。建物は木造2階建てで一部に地下があり、延べ床面積は約204坪、契約金額は税抜で5億円(消費税込5.4億円)であった。
A氏の敷地に建っている古屋の解体工事にともない大規模な地中構築物が発見されたため、住友林業からは追加解体工事費用などの話が持ち出された。困り果てたA氏は、親戚であり建築紛争問題に精通している―級建築士の都甲栄充氏、都甲和幸氏の兄弟に相談をした。都甲建築士兄弟がA氏から事情を聴いて関係書類を確認したことにより、A氏と住友林業の契約の問題点が明らかになった。
住友林業の見積書は「本体工事」「提案工事」「特別値引」「付帯工事」「設計料など」で構成されており、契約の問題点は以下の内容であった。
1つ目の問題点は、下記の資料(1)の通り、「本体工事」が「2億5,533万5,800円」(消費税別)の金額のみで内訳明細がないことである。
都甲建築士兄弟は、A氏家族立会いの下、住友林業の担当者と現場で面談し、「本体工事の見積もり内訳明細は当然添付されるべきもの」として、住友林業の担当者に内訳明細の提出を求めた。
しかし、住友林業の担当者の説明は、「住友林業のビッグフレーム構法の電算ソフトによる見積もりは、当社の標準仕様・仕上げに基づき自動的に計算される金額であり、会社のシステム上、内訳明細は出せません。今お渡ししているものがすべてであり、完成後も本体工事の内訳明細は提出できません」というものであり、「本体工事」の見積もり内訳明細の提出を拒否した。
契約締結前に見積書の内訳明細を提示していない点でも契約に問題がある上に、契約を締結し古屋の解体工事に入った時点でも見積書の内訳明細を開示しないという住友林業の対応は不誠実以外の何物でもない。
都甲建築士兄弟は「仮に、デパートで2億5,000万円のダイヤモンドを買うのであれば価格の内訳を細かく聞くこともないでしょう。しかし、今回の住宅建設は工事請負契約であり、契約時の見積書と図面の提示は建設業法にも定められています。最大手の住宅メーカーである住友林業がこのような“詐欺まがい”の商売をしていいのでしょうか。この不誠実な実態を世間にも知っていただきたいです」と語っている。
また、「『このような実態を問題提起しているのは私たちだけなのですか』と住友林業の担当者に尋ねたところ、『ほかにも同じようなことを言われたことがあります』という回答であきれ果てました」とも語った。
「本体工事」の標準仕様・仕上げの状態は「最低限必要な仕様」であり、注文者の希望に応じたグレードアップや設備等の追加などについては「提案工事」に計上される。
2億5,533万5,800円を床面積204坪で割ると約125万円/坪となる。(つづく)
【桑野 健介】
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