2024年11月23日( 土 )

住友林業、見積書の明細を開示せず不誠実な契約!(後)

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 木造住宅メーカー最大手の住友林業は、「ビッグフレーム構法」(木質ラーメン構造)、「マルチバランス構法」(木造軸組構造)などの耐震性の高い構造と高級感を感じられる仕様で人気も高く、ブランド力を強味としている。その住友林業の契約に関して、見積書の本体工事の内訳明細の開示を求めた契約者に対し、「会社のシステム上、開示できない」という回答を行った住友林業の対応が問題となっている。

 建設業界の常識として、工事請負契約は図面と見積書(内訳書)がなければ成立しない。受注者は発注者に対し、工事の内容、設計内容を十分に説明する義務がある。A氏の住宅における住友林業の対応は、建設業法20条および建築士法18条に抵触する恐れがあり、素人相手に”詐欺まがい”の内容で契約を結んだという印象を受ける。

建設業法 第二十条(建設工事の見積り等)
 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。
2 建設業者は、建設工事の注文者から請求があったときは、請負契約が成立するまでの間に、建設工事の見積書を交付しなければならない。

建築士法 第十八条(設計及び工事監理)
2 建築士は、設計を行う場合においては、設計の委託者に対し、設計の内容に関して適切な説明を行うように努めなければならない。

 A氏が親戚である都甲建築士兄弟に相談をしたことにより、契約上の問題点が明るみとなり、住友林業は建設業法と建築士法違反となる可能性まで出てきた。A氏は、素人としての無知さを反省するとともに、契約解除も視野に入れた上での検討を始めたという。

インターネット上での住友林業の評判

 インターネット上での住友林業の評判を調べてみると、「最大手住宅メーカーとしての安心感・高級感」という声がある一方で、下記のようにネガティブな声も多く見かける。

  • 工事を下請けに丸投げするので、施工品質にばらつきがある。
  • 営業マンが、四半期の締めの時期に契約を急ぐよう勧めてくる。
  • 外構工事は系列の住友林業緑化を通すことになるが他社と比べて金額が高い。

 大手住宅メーカーは下請業者に丸投げすることが多いといわれている。住友林業のように坪あたりの施工単価が高い大手住宅メーカーであっても、下請業者により施工品質にばらつきがあっては、契約者に良質な住宅を提供することができない。うがった見方をすれば、下請業者による施工品質のばらつきやクレームの処理を見込んで、坪単価を高く設定しているのか、とも思えるが、そうであれば本末転倒ではないだろうか。

 営業マンが四半期の締めの時期に契約を急がせるという点についても、A氏の住宅については「消費税が上がる前に8%で契約できますよ」と告げ、3月31日付けの契約としているのは、決算時期に間に合わせるためだったと考えられる。

 住宅は高額な買い物だ。住宅メーカーは、住友林業のような高級さを売りにしたメーカーからローコスト住宅メーカーまでさまざまであり、大手・地場と数も多く、それぞれに一長一短ある。いったん契約した後では契約解除が難しくなるため、契約前に情報を集め、慎重に検討をしたうえで契約を結ぶべきである。営業マンが契約を急ぐかもしれないが、家族が何十年も暮らすための家を性急に契約する理由はない。

 A氏の場合は、契約締結後とはいえ、早い段階で親戚の建築士に相談をしたことにより、最小限の被害で済んだといえるが、完工後にさまざまな瑕疵が判明しトラブルになった例は枚挙に暇がない。大事な住まいのトラブルを未然に防ぐためにも、慎重に契約をすべきであり、場合によっては、専門知識をもった建築士などに相談をすることも必要であろう。

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(了)

【桑野 健介】

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