【ラスト50kmの攻防(21)】長崎ルートの全線フル規格開業目指す 佐賀県民会議総会
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九州新幹線長崎ルート、武雄温泉―長崎間の来年秋の開業を前に、「フル規格促進佐賀県民会議」の設立総会が4月11日、嬉野市内で開かれ、未着工の新鳥栖―武雄温泉間を含め全線フル規格開業を目指す県民運動の推進を申し合わせた。
この日は、県民会議の趣旨に賛同する住民ら200人余りが参加。会長の小原健史・嬉野市商工会長は、「この会の目的は西九州ルート(長崎ルート)全線をフル規格で通す。その一点に尽きる。新幹線で新大阪までつながれば人の往来が増えて経済が浮揚する。遠距離の通勤や通学もできる」と指摘した。
全線フル規格整備と併せ、小原会長は並行在来線の維持や第3セクター松浦鉄道の武雄温泉駅乗り入れ、超長期の延払による佐賀県の建設負担金の支払いなどを国や佐賀県、JR九州に要望していくとした。
その後、自民党政調会長代理の今村雅弘衆院議員、国交省の寺田吉道鉄道局次長、JR九州の古宮洋二専務、新幹線沿線の市議や町議50人余りでつくる「佐賀県フル規格促進議員の会」会長の平原嘉典佐賀市議が次々にあいさつ。
今村氏は、「新幹線は新しい時代の鉄道。佐賀はその上に乗ることができる。近くに行く際は在来線、遠くは新幹線と使い分けができる」と選択肢の広がりを強調。新鳥栖―武雄温泉間の整備方式を佐賀県と協議中の寺田氏は「早期合意に取り組む」と意欲をみせた。
古宮氏は、九州新幹線鹿児島ルートでは博多―熊本間の通勤定期券の利用者が800人おり、「引っ越さずに済み、生活を変えている」と紹介。平原氏は「今後は県民会議と一緒に要望活動や情報発信を進める」と語った。
新鳥栖―武雄温泉間は、国交省・JR九州が佐賀駅と併設可能なルートを決めている。ところが、地元に新佐賀駅のルート案を推す考えがあり、着工前段の環境影響評価を実施する条件が整っていない。
このため国交省と佐賀県が整備方式の協議を続けるのを尻目に、自民党佐賀県連はルートの絞り込みに着手。佐賀県議会の新幹線問題等対策特別委員会は4月9日、鹿児島ルート新設駅の新玉名駅と新大牟田駅を視察し、開業後10年経っても商業施設や住宅などの集積が計画通り進まない現状を確認した。
【南里 秀之】
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