バイデン大統領の諸政策と韓国への影響(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
第46代米国大統領に民主党のジョー・バイデン氏が今年1月20日、就任した。バイデン大統領はトランプ前政権の政策を廃止する数々の大統領令に署名し、新しい政策を打ち出そうとしている。いずれにしても、経済大国である米国の大統領政策は世界に甚大な影響力を及ぼすため、その内容を予想することが重要である。今回は、バイデン政権の政策とそれらの政策が及ぼす韓国への影響を取り上げてみよう。
米国経済の現状
バイデン政権は、地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」への復帰や世界保健機関(WHO)脱退の撤回など新しい政策を展開しようとしている。加えて、コロナ禍を克服するため、景気回復に1兆9,000ドルの予算を注ぎ込む計画だ。米国は世界最大の経済大国で、米国の動向は世界経済に大きく影響する。さらに、世界の軍事費のうち4割近くを占める7,320億ドル(約79兆円)を軍事費に支出する米国は、世界最大の軍事力を有している。全世界の貿易を左右する基軸通貨、ドルのメリットをもつ米国は、ドルを刷ってもインフレにならない。ドルが世界各国に輸出されるに伴い、インフレまで輸出されるためだ。
米国は1980年代に製造業において日本の後塵を拝したことはあるものの、情報革命で見事に復活し、今では世界ランキング上位の企業はほとんど米国企業で占められている。筆者が子どものころ、韓国は貧しい国であった一方、米国では冷蔵庫を開けると食べ物があふれているという話を聞いて、羨ましいと思った記憶が今でも鮮明に残っている。さらに、米国は国連連合軍として朝鮮戦争にも参戦し、韓国を守ってくれた国でもある。今でも韓国は米国の核の傘下にあり、駐韓米軍が戦争の抑止力になっていることに対しては、誰1人として疑いを差しはさむ余地がない。
しかし、韓国も経済が成長し、多くの韓国人が米国に留学するようになった今、米国の実情をよく知る若者の米国観は我々の世代とは違うことも事実である。
バイデン政権がおかれている状況
バイデン大統領は新型コロナウイルスの患者数2,400万名、死亡者数30万名という最悪の状況下で大統領に就任した。4月11日現在の同患者数は約3,100万名、死亡者は57万5,000名に増加している。
もちろん、ファイザーやモデルナという米国企業が開発したワクチンの接種が進んでいるが、新型コロナウイルスの拡大は止まっていない。まずは、新型コロナウイルスの克服がバイデン政権に課された最優先課題であろう。同時に、新型コロナウイルスで停滞している経済をどのように立て直すのかということも喫緊の課題である。
民主党の支持基盤は低所得層が多く、民主党が政権を取るとお金をばらまく政策を行うことが多い。今回もその一環として、経済回復策で1兆9,000ドル規模の政策を行う予定だ。ただし、このようなバイデン政権の経済対策案は景気を過熱させるリスクがあるという見方もある。景気が過熱すると、結局は「大幅な金利引き上げ」につながりかねないという指摘である。
加えて、バイデン大統領が選挙公約としていた、4年間で2兆ドル規模の地球温暖化対策中心のインフラ投資計画が次の経済政策になるとしたら、この政策は今回の新型コロナウイルス追加経済対策法案の規模をさらに上回る可能性がある。
民主党は、今回の選挙で行政府と議会の上院と下院を掌握している。今後、米国経済が韓国に及ぼす影響を知るためには、州知事と州議会にも目を配り、政策の動向を見守る必要がある。
(つづく)
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