バイデン大統領の諸政策と韓国への影響(後)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
第46代米国大統領に民主党のジョー・バイデン氏が今年1月20日、就任した。バイデン大統領はトランプ前政権の政策を廃止する数々の大統領令に署名し、新しい政策を打ち出そうとしている。いずれにしても、経済大国である米国の大統領政策は世界に甚大な影響力を及ぼすため、その内容を予想することが重要である。今回は、バイデン政権の政策とそれらの政策が及ぼす韓国への影響を取り上げてみよう。
バイデン政権の経済政策
バイデン政権の経済政策では、環境、労働、人権が優先されることが予想される。バイデン政権はパリ協定への復帰をはたし、50年までに二酸化炭素排出ゼロを目指すことになるだろう。加えて、環境を中心とした画期的なエネルギー政策を推進し、その分野に莫大な投資をすることになるだろう。
韓国の場合、鉄鋼と石油化学製品は米国の主要輸出品目となっているが、この分野は二酸化炭素の排出が多く、輸出の減少およびコストの増加が避けられない可能性が高い。さらに、米国のリショアリング政策(製造業の国内回帰)は米国への投資を増やし、韓国内の雇用減少をもたらす恐れがある。
21世紀はAI、自動走行、IoTなど、半導体の役割が大きな時代になるが、米国は半導体の設計だけでなく、サムスン、TSMCの工場を国内に設置する政策を進めている。そのような政策は米国の産業競争力を高めるが、韓国には悪材料になる。しかし、一方では、バイデン政権の財政拡大と貿易重視の政策は韓国の輸出を伸ばし、韓国のGDPを押し上げる効果があるだろうと予測する専門家もいる。
バイデン政権の外交政策と対中戦略
バイデン大統領は、トランプ大統領の政策でこじれた欧州諸国との関係改善を図る必要がある。さらに、ロシア、イランとの関係など、外交的な課題は山積しており、米国の外交的利益と諸外国との関係について、すぐにも戦略的な見直しに着手することになる。
米国における中国への警戒感は党派を超えて広がっている。中国に対しては、前政権と同様に対中強硬姿勢は続くものと予想される。バイデン新政権の対中政策は、気候変動問題などでは中国と協力を模索するものの、技術覇権や軍事力、人権などの面では、より強硬的なスタンスで中国に対峙する可能性がある。とくに日本と韓国などの同盟国との連携を深めて、対中包囲網を構築するだろう。
韓国への影響
米国は中国に次ぐ韓国の第2の輸出相手国である。韓国の対米輸出は過去1988年から2018年まで年平均4.2%増加してきた。ところが、選挙の次の年には、前年対比で平均4.2%減少している。このような前例からすると、今年の対米輸出は楽観できない。今後、米国のインフラ投資を中心とした投資計画が確定すると、韓国企業への何らかのかたちでプラスになるだろう。しかし、米国政府の財政支出の拡大で金利が上がると、韓国の企業および家計に対しては大きなリスク要因となるだろう。
米国では、新型コロナウイルスを克服するために行われた財政支出のお金が株式市場、不動壇市場、仮想通貨市場に流れ、3つの市場は活況を呈しているが、バイデン政権にはこのような課題をうまく解決される政策運用能力が求められている。
(了)
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