中国経済についての文化講座、福岡市で開催
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福岡日中文化センターが主催する中国文化講座が6日、福岡市内で開催された。
長崎大学名誉教授の井手啓二氏が講師として招かれ、「転換期あるいは正念場を迎えた中国」と題して講演が行われた。3月5日に始まった中国の国会に位置づけられる「全人代」での「第13次5カ年計画」について「習近平、李克強政権が成立してから中国では急激な社会の変化が生じている。前代未聞の聖域なき腐敗、汚職の摘発、成長減速化と発展方式の転換を目指す新政策の矢継ぎ早の展開が見られる。新政策の展開が大きな成果を生み、転換が成功するのかはまだ『不確定』である」と解説した。
中国は、購買力平価で世界最大(2014年)、為替レート換算でアメリカに次ぐ世界第2位の経済大国(2010年以降)となり、日本との比較ではGDP、貿易規模とも2倍以上の値だ。しかし、国民1人あたり所得では世界の80位台で、途上国・中進国水準とも言える。
井手氏は、とくにこの2年間の中国社会の進展状況について、「大衆路線教育実践活動」「国際秩序改革への挑戦」「消費主導成長への転換の推進(GDPに占める家庭消費の割合は35.4%(2009年)から約43%(2014年)へ上昇)」というキーワードを挙げた。社会主義市場経済化25年の成果と限界、課題についても触れ、「この25年間の成果は、制度・政策転換による目覚ましい高度成長と国民生活の向上の実現である。中国は伝統的社会主義の苦い経験を経て、市場経済を社会が意識的に制御。したがって、共同富裕、社会的公正や平等の実現を目的としたかたちで市場経済を運営する以外に『社会主義』を実現する道がないことを理解した。市場経済と資本主義とは別物ということを、市場の廃絶を目指した伝統的社会主義時代の経験を通して学んだ」と分析している。最近の中国の動向について「農村の中高年の自殺率が上がっており、由々しき問題となっている。一方で、アニメや音楽の影響で日本語を学びたがる若者も多く、文化面では日中問題を感じることは少ない。『香港、台湾の選挙が羨ましい』『(自分の国で行ったことなのに)天安門事件は信じられない』という若者もいるほど、価値観の多様化も見られる。高速道路の整備などで中国人の生活スタイルはガラリと変わったが、それでも『春節は実家で過ごすもの』などといった伝統的な思想は若者に根付いているようだ」と話した。
【杉本 尚丈】
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