【医療】長崎大病院など9つの病院でコロナ患者にサプリ用いる特定臨床研究
-
長崎大学病院が、アミノ酸の1つ「5-ALA(ファイブ・アラ、5-アミノレブリン酸塩)」と「SFC(クエン酸第一鉄ナトリウム)」を含むサプリメント(栄養補助食品)を用い、全国8つの医療機関とともに新型コロナウイルス患者を対象にした特定臨床研究を進めている。
厚労省治験推進室によると、特定臨床研究は医薬品医療機器法に基づく承認を得られていない医薬品などを使った臨床研究。通常はその化学物質の安全性や有効性、忍容性を確認するのが狙いとされる。
「5-ALA」とSFCを含むサプリメントをコロナ患者の治療薬として開発する研究は、アイルランド王立外科医学院の海外キャンパス「バーレーン医科大学」でも進められており、安全性や有効性、忍容性を評価するためのパイロット試験が終了したばかりという。
長崎大学では新興感染症を研究する熱帯医学研究所の北潔教授らが5-ALAの機能性に着目してマラリア治療薬の開発に取り組み、国立国際医療研究センター(東京都新宿区)とともにラオスで臨床研究を進めてきた。そのなかで、5-ALAのマラリアへの作用機序から新型コロナウイルスへの効果も望めると推測。細胞で培養したコロナウイルスを用いて感染試験を実施した結果、5-ALAに強いコロナウイルス増殖抑制効果があることがわかった。
そこで長崎大学病院感染制御教育センター長の泉川公一教授らのグループがコロナ患者への5-ALA投与の特定臨床研究を計画。同大の倫理委員会で承認された。計画によると、同研究への参加施設は、長崎大学病院をはじめ長崎みなとメディカルセンター(長崎市)、佐世保市総合医療センター、諫早総合病院(諫早市)、横浜市立市民病院、神戸市立医療センター西市民病院、長浜赤十字病院(滋賀県長浜市)、湘南藤沢徳洲会病院(神奈川県藤沢市)、新古賀病院(福岡県久留米市)。
20歳以上の男女で軽症と中等症のコロナ患者50人を対象に、通常の治療に追加するかたちで1日当たり5-ALA450mgとSFC261mgを含むサプリ投与群と1日当たり5-ALA750mgとSFC435mgを含むサプリ投与群に無作為に割り付け、結果を比較する。対照群はサプリを与えない「通常の治療」群。コロナ患者のうち無症状者と重症者は除く。研究期間は2月4日から来年3月31日まで。終了後の主要評価項目は、患者体内のウイルスの変化量と臨床症状スコアの変化、サプリの安全性。
長崎大学病院は、「臨床研究の結果解析にはバイアスがない公平性が担保されるべきなので、進捗状況の随時公表は控えている」(感染制御教育センター)としている。
5-ALAは、天然に500種類ほどあるアミノ酸の一種。日本酒や赤ワイン、黒酢、タコ、イカなどの食品に多く含まれている。ただ、これらの食品を大量に摂取することでコロナ感染を予防したり、治癒したりするかは不明。
【南里 秀之】
関連キーワード
関連記事
2024年12月20日 09:452024年12月19日 13:002024年12月16日 13:002024年12月4日 12:302024年11月27日 11:302024年11月26日 15:302024年12月13日 18:30
最近の人気記事
まちかど風景
- 優良企業を集めた求人サイト
-
Premium Search 求人を探す