コンテンツ事業で海外展開を加速するネイバー(前)
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日韓ビジネスコンサルタント 劉 明鎬 氏
韓国企業は、画面をスクロールしながら楽しむ電子コミック「ウェブトゥーン」を開拓し、この分野で世界市場をリードするという驚異的なことを成し遂げている。コミックやアニメはもともと日本のお家芸であり、筆者も幼いころに日本のアニメを見て育ったが、デジタル化の波はコミックの世界にも押し寄せている。今回はモバイルで配信される電子コミック、ウェブトゥーンの市場動向を取り上げる。
電子コミックが大切な理由
筆者の知り合いの話によると、韓国の電子コミックを日本へ売り込みたいという提案を日本の取引先にしたところ、最初はあまり乗り気ではなかったという。しかし、蓋を開けてみたら韓国企業であるカカオが運営する「ピッコマ」が、日本の電子コミックアプリ市場でトップシェアを占めている。各社は、電子コミックをコンテンツ事業の柱として捉えており、知的財産権の確保という点でも、しのぎを削っている。
コンテンツビジネスを営む企業では、電子コミックで作品が大衆受けするかどうかをまず試して、高い評判を得た作品をドラマ化、映画化する。電子コミックはコンテンツビジネスにおいて、「種」の役割をはたす、貴重な知的財産権だ。
加えて、ドラマや映画がヒットすると、電子コミックをまだ読んでいない人が電子コミックに流れるという好循環をもたらす。電子コミックでスタートして、ドラマとしても大成功した作品には、ネットフリックスのオリジナルドラマである『スイートホーム―俺と世界の絶望―』がある。同作品は2020年12月18日の公開後3日で、韓国をはじめ、マレーシア、フィリピン、シンガポール、台湾、カタール、タイ、ベトナムなど8カ国でランキング1位となった。アジアだけでなく、北米、南米でも大人気を博し、全世界の人々を魅了した。ネットフリックスは公開後4週間で、世界の2,200万人がこのドラマを有料で鑑賞したことを明らかにした。
この作品は電子コミックでも英語、日本語など9カ国語で翻訳され、世界の累積視聴数は12億ビューを達成した。日本でも有名なドラマである『梨泰院クラス』も、ウェブトゥーンがドラマ化された代表的な作品であろう。
(つづく)
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