【再掲】 2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(22)~コロナ前の福岡空港の需要予測と滑走路処理能力
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
コロナ禍前の2019年11月、国土交通省は福岡空港の需要予測を5年ぶりに見直した。格安航空会社(LCC)の参入やアジアの成長などを考慮し、今後さらに航空需要が伸びると予測。そのうえで、35年度の発着回数を最大で21万3,000回に上方修正した。
福岡空港では、現在進めている滑走路増設によって、定時制を保ちながら安定的に運航できる目安の発着回数を年間18万8,000回まで拡大できると試算している。さらに着陸時の進入経路の一部変更によって、年間21万1,000回まで拡大できる見込みだ。
つまり、「滑走路を増設」しても、「進入方式を変更」しても、35年の発着回数は処理能力を2,000回もオーバーする見通しで、福岡空港の過密化は解消できない可能性があるということだ。「現空港での対策は万策尽きる」ということである。新空港を考えなければ、根本的な解決策にはならないとも言い換えられる。
今回の新型コロナ感染拡大の影響により、この需要予測は白紙になってしまったと思われがちだ。だが、福岡空港の潜在的な需要はあるわけで、おそらく処理能力をオーバーしてしまうのが、少し先延ばしになったというだけではないだろうか。
空港整備の計画策定から開港までには、30年以上の時間を要する。そのため、今こそ長期的な視点に立ち、都市の将来像を見つめ直し、「新空港計画」を考えておくことが重要となる。
今回まで、現在の福岡空港が抱える諸問題を振り返ってきた。次回からは、50年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想を考えるにあたって、「新福岡空港オープンパラレル構想」について論を展開してみたい。
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。法人名
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