【再掲】2050年代を見据えた福岡のグランドデザイン構想(23)~クロースパラレル方式とオープンパラレル方式
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C&C21研究会 理事 下川 弘 氏
現在の福岡空港が、実は国内線も国際線も合わせて1本の滑走路で運用されていることは以前に述べた。ただ、国内線と国内線のターミナルが東と西に分散していることもあって、それぞれに滑走路があると思っている方も、いまだおられると思う。
筆者が事務局長を拝命しているC&C21研究会では、一貫して「福岡には24時間利用可能な新福岡空港が必要」と提言してきた。そして、その新たな福岡空港には、最低でも2本の滑走路が必要不可欠である。
運行回数の多い空港では、空港の能力向上のために2本の滑走路を並行に配置する「並行滑走路」を採用しているところが多いが、滑走路間の距離やターミナルの配置によって、「クロースパラレル方式」と「オープンパラレル方式」の2種類に分かれている。
大阪国際空港(伊丹空港)や新千歳空港のように、ターミナルの片側に2本の並行滑走路があるものを「クロースパラレル」という。2本の滑走路の間隔は210m以上と近く、並行滑走路への同時進入・出発は原則として不可。ただし、一方の滑走路で着陸を行うと同時に、もう一方の滑走路で離陸に備えて待機するなど、空港の地上交通および離着陸機の調整によって運用効率を上げることは可能になる。
なお、この方式には、空港の敷地が狭くても、2本目の滑走路を設けることが可能という利点があり、現在整備されている福岡空港の2本目の滑走路は、このクロースパラレル方式を採用している。
一方で、2本の滑走路の間隔が1,310m以上(国交省航空局資料より)あり、その間にターミナルを挟むようなものを「オープンパラレル」という。滑走路間の干渉が少なく、並行滑走路への同時進入・出発を行うことができ、クロースパラレル方式よりもさらに効率的な空港運用が可能になる。世界の巨大空港ではこのオープンパラレル方式が採用されており、その代表例がドイツのミュンヘン空港である。日本国内では、成田国際空港や東京国際空港(羽田空港)、関西国際空港、那覇空港などで採用されている。
Map data (c) OpenStreetMap contributors, CC-BY-SA /一部加筆
将来的に24時間利用可能な新福岡空港を考えた場合、我々(C&C21研究会)の案では、後者のオープンパラレル方式での「新空港島」の整備を行う方向性で検討を行っている。本連載では今回よりしばらく、この「新福岡空港オープンパラレル構想」について論じていきたいと思う。
(つづく)
<プロフィール>
下川 弘(しもかわ・ひろし)
1961年生まれ、福岡県出身。熊本大学大学院工学研究科建築学専攻修士課程を修了後、87年4月に(株)間組(現・(株)安藤・間)に入社。建築設計第一部や技術本部、総合企画本部企画部などを経て、99年1月には九州支店営業部に配属。その後、建築営業本部やベトナム現地法人、本社土木事業本部営業部長などを経て、2020年9月から九州支店建築営業部営業部長を務める。社外では99年9月からC&C21研究会事務局長(21年8月から理事)を務めるほか、体験活動協会FEA理事、(一社)日本プロジェクト産業協議会の国土・未来プロジェクト研究会幹事、(一社)防災教育指導協会顧問など数々の要職に就いている。関連キーワード
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